★「内定辞退対策」空前の売り手市場で学生の内定辞退にどう対策すべきか?「新卒採用」★

内定辞退対策 , 入社誓約書

◆内定辞退対策として「入社誓約書」や「内定承諾書」で学生の囲い込みを図るのは愚策 | 内定辞退を前提とした採用計画を立てる | 学生にデッドラインを示すことと早い目のホウレンソウを求める | 企業は内定者をお客様と考えて真摯かつ正直に接するべき◆

 

<要点>

  • 2018年卒大学生の内定取得社数の平均値は10月1日時点で2.50社。
  • 10月1日時点での内定取得者のうち、大学生の就職内定辞退率は64.6%。
  • 内定は「始期付解約権留保付労働契約」であるため「内定誓約書」や「内定承諾書」で縛ることはできない。
  • 新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は約32%(平成29年9月発表分)。
  • 内定辞退を前提とした採用計画の立案と、学生への真摯な対応、きめ細やかなフォローアップを。
  • そもそも論として、内定者に逃げられないように待遇を改善すべき。

 

 

<序論>

NEWSPICKSにて「内定辞退、最多の6割超 学生の売り手市場反映」とのニュースが紹介されていたため、元データを確認しようと調べていたが、一向にたどり着けない。内定辞退率と検索した際に表示されるのが本キャプチャであり、各新聞社の記事に元データであるリクルートキャリアの調査結果へのリンクもない。新聞社員は一から報道の仕方を学んだ方が良いのではないだろうか?

 

内定辞退率

 

Googleの検索結果は大してあてにならず、新聞社の報道内容は空っぽ。そして広告をクリックさせようとするトラップばかりが仕掛けられている。情報を右から左に垂れ流しするだけのメディア、情報弱者への広告をばら撒くスポンサー、そして濡れ手に粟のGoogle。まったくもって酷い有様だ。日本のマスコミが酷いのは今に始まった話でもないが…。さて、Googleがネットを支配する現状への危惧はこれくらいにして、内定辞退の話に戻ろう。

 

 

①東証一部上場企業でも内定者の半数に辞退されるケースあり

 

内定辞退率に関する調査の元データはこちらに示されている。

 

→【確報版】「2017年10月1日時点 内定状況」就職プロセス調査(2018年卒)

 

リクルートキャリアの報告書は採用や人事に関わる者であれば必読である。データを要約して単純化して述べれば、学生は複数社から内定を得ていて、内定辞退は当たり前の現実としてそこにある。複数の内定を得ている学生は一つに絞り込まなければならないし、より良い就職先を探して貪欲に就活するのは当然の話だろう。

 

だから、内定辞退に悩まなくてよい企業なんてほんの一握りだ。私は前職の大手通信企業で採用を長く担当していたが、驚くほどの内定辞退者数が発生する。5年前時点で3分の1から半分といったところだ。総合電機の友人もメガバンクや商社に学生を獲られてしまうと嘆いていたし、内定を出した学生の8割以上に辞退された一部上場企業の話も聞いたことがある。求人倍率が上昇し、空前の売り手市場である2017年現在、内定辞退はより逼迫した問題として企業を悩ませているに違いない。

 

メガバンクでさえ、総合商社に優秀な人材を獲られてしまう。三菱商事や三井物産だって、三菱地所や三井不動産に逃げられる。どうしてあなたの会社をわざわざ学生が選んで入社してくれると楽観的でいられるのか?という話なのだ。人気企業でも内定辞退を防ぐことは難しい。人事担当者には、あなたが学生時代に戻ってどこでも就職先を選べるとしたら、自社を選ぶのか?と問うてみたい。少し想像力を働かせればわかる話だ。だから、内定辞退を前提条件として採用計画を立てるべきなのだ。

 

 

②どのような内定辞退対策を取るべきか?

 

人事にとって内定辞退は実に頭の痛い問題であるし、正確な情報を把握するのが難しい対象ではある。なぜならば、他社の内定と悩んでいると馬鹿正直に打ち明けてくれる学生ばかりではない(正直さは美徳ではあるが、果たして内定先企業の担当者に打ち明けることだろうか?友人や家族とでも相談すれば良い)。(→「就職先の決め方」最終面接のポイントと内定辞退の方法(内定を得た後にすべきこと)

 

とすれば、どのように対策を実施するべきだろうか? 避けるべき手段は「内定誓約書」で学生を束縛しようとする選択である。法律や判例すら理解していない馬鹿な企業であると宣伝するようなものだ。採用内定の法的な性格は「始期付解約権留保付労働契約」である。詳しくはググって欲しい(流石に固有名詞の検索結果はまともだ)。企業、就活生双方が雇用関係を取りやめできる立場にあるので、就活生側からの内定辞退が可能である状態となる。

 

もっと言えば憲法第22条に「職業選択の自由」が定められているため、他の志望企業に入社することを理由に内定を辞退しても問題ない。だから内定誓約書や内定承諾書で内定辞退を防止しようとする対策は愚策であろう。

 

ここで再び想像力を働かせて学生の立場になってみよう。雇用の流動性が以前に比べれば高まったとはいえ、日本は新卒一括採用社会であり、一度入社すれば安易に解雇されることはない。新卒学生の3年以内の離職率が30%少々であることを裏返せば、最初の就職に失敗したと考える人間が少なく見積もっても3割程度いることを意味しており(前向きな転職なんてほとんど存在しない。9割は現状への不満だろう)、出来るだけ志望度の高い企業(条件の良い企業)に入社することが学生にとってみれば至上命題だ。※参考(→新規学卒者の離職状況

 

どうすれば良いか?極論を言えば、他社よりも良い条件を示すこと、それにより学生に是非とも入社したいと思って貰うことであるが、そんな綺麗事を唱えても仕方がないので、現実の対策について考察したい。まずは内定通知を電話だけではなく、メールや文書で提示することから企業は始めよう。口頭の内定通知だけで済ませるのは悪しき風習である。

 

ここで企業は内定承諾書を〇月〇日までに提出せよという選択をしてしまいがちである。もちろん入社予定人数を確認する目的や、内定充足率を高めるために学生の入社意思を確認することは避けて通れないが、ここで学生に選択を強いてはならない。内定拘束することは学生の内定辞退のリスクを拡大させてしまう恐れすらある。

 

学生に性善説で社会の常識を期待することは、根本的に間違っている。だから一つずつ丁寧に説明を実施すべきだ。君に是非とも入社して貰いたいと伝え、入社意思を確認する。そこからは定期的なフォローアップ(後ほど述べる)を実施していくのだが、学生にデッドラインを示さねばならない。

 

10月1日に内定式があり、その直前で内定辞退をすることは会社に迷惑がかかる。君の所属する大学の信用にも関わる問題である。内定式には準備も決裁もあるから、2カ月前(例えば)までに最終の入社意思確認書を取ればよい。それでも内定辞退されてしまうのであれば、御社によっぽど嫌なのか、そんな無責任な学生を採用しようとした御社の選球眼の悪さを反省すべきだろう。

 

就活戦略