★「札幌ドーム」無能な札幌市と新球場を夢見るファイターズ ファン置き去りの日ハム新球場の是非を問う★

日本ハム新球場

 

「北海道日本ハムファイターズは北広島市に新球場を建設する構想を発表」 「新球場(ボールパーク)の建設予定地はきたひろしま総合運動公園」 「日本ハムファイターズは札幌ドームから撤退」 「札幌ドーム(札幌市)は最大顧客を失い赤字危機」 「北広島新球場はアクセス不便でファン離れが加速するリスク大」 「第3セクターという無責任体質と札幌市の無能行政が招いた大損失」

 

 

札幌ドームを運営する札幌市,球団球場一体運営を実現したい日本ハムファイターズ,両者とも不幸になり損をするという,日ハムの新球場建設による札幌ドーム撤退問題について,日本の得意芸である非合理性の選択に帰結した本件の馬鹿らしさを考察することとしたい.デービッド・アトキンソン紙が東洋経済の記事で「日本の経営者は奇跡的な無能」と指摘したけれども,自治体と企業がまさにその言葉通りの選択をするという笑えない現実がいま目の前で繰り広げられている.

 

 

1.日本ハムファイターズが札幌ドームから撤退する理由

 

 

プロ野球日本ハムの札幌ドームの利用は年間70試合程度.支払い金額は年間25億円超.日ハムはこの利用料の値下げ及び運営権利の拡大を札幌ドーム側に求めていた.というのも,札幌ドーム内の飲食,グッズなどの売り上げは札幌ドーム側の収益となり,日ハムには入らないためだ.

 

ソフトバンクホークスや楽天イーグルス,横浜DeNAベイスターズの業績改善や収支改善には,球団経営と球場運営と一体化や相乗的な取り組みがある.にもかかわらず,日ハムにはホーム球場である札幌ドームでの運営利権(自由度)がほとんどない.

 

だから,日ハムは札幌ドームに対して,利用料の値下げ要求だけではなく,運営権利の拡大を求めていたわけだ.それを札幌ドーム(実質経営は札幌市)は聞き入れず,日ハム側は交渉を諦めて新球場の設立に舵を切った.これが日ハムの北広島新球場建設による札幌ドーム撤退の経緯だ.

 

 

球団経営やマーケティングについて詳しくは以下の記事を参考にしていただくと良い.

 

→激走!ベンチャー・スタジアム ~僕の楽天イーグルス創業記~

 

 

簡単に解説すると,プロ野球の収益は,

①スポンサーからの広告料

②試合の放映権料

③球場における収入

が3本柱である.自社の営業努力で一番コントロールできるのが,球場における収益であり,この球場収益は試合の入場料を中心として,グッズの販売収入,球場広告,売店売上から構成される.その一つが欠けて,球団球場一体経営が出来ないことに日本ハムは長年苦言を呈してきた.

 

阪神とオリックスは親会社やグループ会社が球場を運営しており,資本的にも一体化していると言えるだろう.広島・楽天・西武・ロッテ・ソフトバンクの5球団は,球場の営業収入が入る契約を結んでいる.つまり,集客することで球団と球場の双方が利益を得られるWinWinの体制になっている.

 

赤字の象徴で第三セクターと行政の癒着と不透明な契約が問題となっていた横浜スタジアムは,横浜DeNAベイスターズが横浜スタジアムの運営会社の買収に成功し,球団と球場の一体経営を実現している.

 

 

チームとスタジアムの一体経営を図ることで,観客のニーズをより一層取り入れることが可能となり,入場者数の増加に繋がると言える.スタジアムの入場者数の増加 → チームの収入増加 → 増収益でチーム強化というサイクルを回すことがミッションとなる.

 

そもそも,現状の札幌ドームと日ハムの契約は,球団側の経営努力で観客動員数を増やしても,飲食の売り上げや球場の広告看板料は札幌ドーム側の収入になり,球場使用料は純粋なキャッシュアウトだ.日ハム側が権利を主張するのは当然のことだろう.

 

 

2.札幌ドーム社(札幌市)の無責任&無能経営

 

 

次に札幌ドームの立場を考察してみよう.もしも札幌ドームの需要が旺盛であり,日本ハムファイターズのプロ野球興業に依存していないのであれば,別に問題はない.プロ野球なんて必要ないということだろうか?

 

・札幌ドームの売上高41.3億円,経常利益は2.87億円.※いずれも2017年3月期

・札幌ドームの日本ハム関連売上は3割~6割程度と推察されている.

・札幌ドーム年間総入場者312万人(16年度)の約7割は日本ハムの試合やイベントの観客.

・札幌ドームの当初予定の改修計画(2014年~2023年の10年間)は90億円以上を予定.

 

札幌ドーム社にとって日本ハムが最大顧客であり,多大なウェイトを占めていることがわかる.つまり,札幌ドームはプロ野球観戦客に依存しているわけだ.にも関わらず,最大顧客の日ハムとの交渉に失敗し,その契約を失う結果となった.

 

売上の30%~60%と入場者の約70%を占める大切な客の契約を失うことが,どれだけ愚かな選択であるかは,無能な経営者でもわかりそうなものであるが,札幌ドーム社(札幌市)には理解ができず,危機感もなかったようだ.なぜか? 第三セクターという無責任な団体が経営を担っているからだ.

 

民間企業であれば赤字になれば会社倒産の危機が発生するし,従業員への給料の支払いも困難になる.しかし札幌ドームは札幌市が主体の第三セクター.赤字になったら市から補てんされるだろう.その補てん原資は市民・国民の税金だ.約422億円をかけて建設した札幌ドームという素晴らしいハードウェアを無能な運営側が台無しにするという日本の第三セクターのお家芸.

 

 

 

3.日本ハムの北広島新球場の問題点.札幌ドームと共倒れになるだろう.

 

 

日本ハムの立場からすれば,球団と球場の一体経営は譲れない.新球場建設という大きな投資をしたとしても,25億円~30億円程度の札幌ドームへの支払いを自社売り上げにして運営する方が,長期的には収益が見込めると判断したのだろう.

 

まだ北広島新球場は構想段階であるため,どのようにソロバンをはじいたのかはわからないが,希望的な観測に基づいた甘いデューデリジェンスを実施したのではないかと思わざるをえないくらい新球場案は酷い.はっきり言えば,北広島市を巻き込んだ壮大なブラフであると考えている.日ハム新球場が成功するはずがないのだ.その理由をいくつか示したい.

 

 

 

①新球場建設費が高額となり,プロ野球の試合開催だけではペイできない.

 

当たり前の話だが,札幌ドームの日本ハム関連売り上げが新球場の想定収益になる.プロ野球の試合数を増やすことはできないので,70試合の中でいかに売上機会を増やすかが課題になるが,スタジアムという装置産業において劇的な改善は見込めるはずもない.良くて10%~20%程度の改善であろう.

 

そして,建築資材が高騰している昨今,屋根なしの開放型球場であったも,天然芝の球場を建設するのに最低300億円はかかるだろうし,札幌ドームと同等のドーム型新球場であれば400億円以上のコストが必要になる.たとえ札幌ドームが非合理的な経営を実施しており,新球場経営に革新的な手段を持ち込んだとしても,プロ野球場だけで現在の札幌ドーム以上の収益が稼げるはずもない.

 

札幌ドームの経常利益はたった3億円なのだ.Jリーグとプロ野球という最強のスポーツコンテンツを押さえてこの程度の収益しか上がっていない.100億円程度の日本ハムファイターズの売り上げが,新球場になったからとって劇的に増えるなんてことはまずありえないだろう.

  

 

 

②札幌ドームが強力なライバルとなる.野球以外の収益が見込めない.

 

そして,そもそもの前提条件として認識すべきは,北広島新球場が札幌ドームからの移転ではないということだ.札幌ドームは新球場のライバルとして居続ける.札幌ドームは運営が糞なだけであって,ハードウェアとしての球場のプレゼンスは圧倒的だ.

 

コンサドーレ札幌の本拠地としてサッカーは継続して開催されるし,人気歌手のコンサートなども札幌ドームの需要は落ちないだろう.なぜなら札幌ドームはアクセス至便でとても良くできた球場だからだ.現球場を継続しながら新球場を近隣に建設&運営するという話は,日本はもとより海外でも聞いたことがない.

 

 

③アクセスを筆頭に北広島新球場のポテンシャルが著しく低い.

 

日ハム新球場が成功しえない最大の理由は,北広島新球場(きたひろしま運動公園)の立地に競争力が欠片もないということだ.これも説明するのが馬鹿らしいくらいに当たり前の話なのだが,基本的に新たなハードウェアというのは古いものよりも優位性がなければならない.

 

優位性のもっとも大きな要素の一つがアクセスである.スタジアムに限らず不動産施設の競争力は立地とアクセスが左右する.繰り返すが札幌にスタジアムがなくて初めての大型野球場が北広島に建設されるというのであれば比べるものがないので存在意義はかろうじて発揮できる.

 

だがしかし,観戦客は札幌ドームの利便性と比較する.札幌市内の住民がこれまでドアtoドアで30分程度で札幌ドームの野球観戦に行けていたものが,プラス20分以上かかるとなった場合に果たしてコアなファン以外を維持できるだろうか? 市内からのシャトルバスや,さっぽろ駅から地下鉄で行ける札幌ドームと違って,新球場は札幌駅から北広島駅に本数の少ないJRに乗り,徒歩では20分以上かかる.

 

中日がナゴヤ球場からナゴヤドームに移転して苦戦しているのは周知の事実であり,交通アクセスが課題であると候補地段階から問題が指摘されている場所に,新たに建設を決定するというのは,理解に苦しむ.

 

 

4.日本ハムファイターズは札幌ドームを買収すべき(解決策提案)

 

 

新球場の失敗が素人目にも予測される中,日本ハムファイターズは球場戦略をどうすべきか? 楽天のような行政(旧球場)との協力が見込めない以上,横浜ベイスターズのようにスタジアム買収をする他ない.札幌市民のほとんどはおそらく気づいていないだろうが,札幌ドームが日ハム撤退により確実に赤字になる以上,札幌ドームは大きな負債となり,税金を食うやっかいものになる.

 

とするならば,まだ間に合うし,おそらく日本ハム本社経営陣は狙っているだろうが,札幌ドームを買収して楽天KOBOスタジアムのような天然芝他の改修を実施すれば良い.日ハム単体で買収するのは角が立つだろうから,ファンドと組めば良い.横浜スタジアムのように簡単にはいかないかもしれないが,札幌市民の懐と情に訴えかければ支持は集められるのではないだろうか? 建設から20年経ち,減価償却を考えれば新球場建設よりもコストパフォーマンスが高くなることは間違いない.

 

野球の試合もサッカーの試合も両方できて,アクセス至便な多目的ドーム球場である札幌ドームと共倒れになるようなことは何としてもさけていただき,現三セクの無能な経営陣を一層して札幌ドームの発展させる策を提案することとしたい.以上.