★学生はメガバンクが大好き「就職人気ランキング」銀行志望の理由★

 

2014/02/27

 

就職人気ランキング

 

◆学生は大手金融機関が大好き | メガバンク就活人気の背景と待遇を探る | 就職人気ランキングから学生が銀行と損保を志望する理由を考察する◆

 

先日(2014年2月26日)の日経新聞朝刊の広告特集にて「就職希望企業調査」として,いわゆる「就職希望ランキング」が掲載されていた.母数が文系約4000人,理系約700人と少ないのでこのデータが果たして学生の真意を本当に現しているのか? と言えば少々疑問ではあるが,就職活動のトレンドを掴むには非常に参考になるデータである.そしてその結果を見て実に驚いた. 文系の希望上位10社がすべて大手金融機関(銀行・損保・生保)なのだ.「どれだけみんな金融機関が好きなんだよw 半沢直樹効果か?」 なぜこれほどまでに学生に上位金融機関が人気なのかを,他業種と比較して客観的に分析するとともに,個人的に思うところがあるのでそちらを紹介しつつ,金融人気の理由を考察したい.

 

 

先ずは日経就職ナビが実施した調査結果を引用しよう 

 

<「就職希望企業調査」(2014年)> 

●文系大学生ランキング 

1位:東京海上日動火災保険 

2位:三井住友海上火災保険 

3位:三菱東京UFJ銀行 

4位:三菱東京UFJ信託銀行 

5位:みずほフィナンシャルグループ 

6位:損保保険ジャパン 

7位:三井住友信託銀行 

8位:三井住友銀行 

9位:日本生命保険 

10位:第一生命保険

 

●理系大学生ランキング 

1位:東日本旅客鉄道 

2位:東京海上日動火災保険 

3位:三井住友海上火災保険 

4位:三菱東京UFJ銀行 

5位:サントリーグループ 

6位:三菱UFJ信託銀行 

7位:日本生命保険 

8位:パナソニック 

9位:日立製作所 

10位:カゴメ 

 

 

●大手金融機関やメガバンクを志望する理由は「高収入」「安定性」「ステータス」

 

文系の学生の上位10社はすべて大手金融機関である.証券会社を除く「銀行」「損保」「生保」がトップを独占している.いやはや,実に興味深い結果だ.何故金融機関を志望しているのかの理由も学生に是非問うて貰いたいものである.個人的な意見を述べれば,大手金融機関を志望する本音は大抵次の3つだ. 

 

「給料の高さ」「安定性」「社会的ステータス」 

 

この理由を学生が志望動機で語ることは決してないだろうが,損保・銀行・生保を志望するのに,本気でやりたいことや夢を重ねる人間などいないだろう.だって重なりようがないから.理系で数学を極めた人間が商品設計や企画をしたいというのはあるかもしれないが,それ以外に説得力のある理由を聞いたことがない.住宅ローンの審査や販売,国債の運用が人生でやりたいことである人間がどこにいる? 

 

「日本経済を元気にしたい」とか「M&A事業を手掛けたい」「中小企業に積極的に融資したい」などと一生懸命に考えた志望動機を語るだろうが,では「なにするの?」「なにしたいの?」と問われて明確に自身の考え方や働き方を語れる学生はほとんどいないだろう.それに,金貸しには金貸しのルールがあり,担保がなければ貸すことはできない.夢や希望を語るだけでは金は借りられねぇよ! 熱くなってしまって失礼m(__)m 

 

もしかしたら「グローバル」という視点で志望する学生も結構いるのかもしれない.だが国内外のビジネスの比率を考えればメガバンクでグローバル事業に関われる確率は低く,商社はもとより海外販売比率が高いメーカーに行った方が英語スキルを活かしたり,海外駐在のチャンスは多いはずだ.一昔前は外資系金融があれほど人気であったのに時代は変わるものだ. 

 

とすれば,仕事内容で志望しているというのは就活対策用のネタであり真実ではない.つまりは大手金融のイメージが良いのである.「カッコ良くて給料が高い」そんな社会人になりたいと思い志望しているのだ.大いに結構ではないか.私はこの結果を否定するつもりは毛頭ないし,なかなか打算的であると感心する.「金融は虚業だ」といったり「ものづくりこそ日本の根幹」などど吠える人間もいるが,頭の中はきっとお花畑なのだろう.

 

 

●銀行(メガバンク)とメーカーの給料比較

 

実際に大手金融機関の待遇は実に良い.大学の同期を見ても大学院卒30歳で1,000万円を超えたというものの話をチラホラと聞いた.残業代にもよるので一律には語れないが,入社10年目で800万円を割っている者はほとんどいない印象だ.これを高いと見るかそれほどでもないと見るかは,その人の立っている場所によっても違うのだが,日本の30代正社員平均年収(DODA調べ2013年)が「458万」とのことなので,30歳前半にして平均年収の約倍の水準である.身近な友人の実績と比べれば,世界一の売上を誇るトヨタよりも10%~20%高いくらいだろうか.総合電機は企業によるが,トヨタより10%~20%程度低い水準なので「給料は金融がメーカーの1.5倍」という定説は実に言い得て妙である. 

 

そして「社会的ステータス」の観点から言えば,社会的信用力,社屋の立派さ,就職人気上位と大したブランドである.安定性はメガバンクに関して言えば大きすぎて潰せないのがリーマンショックでも実証されたし,他の大手金融も格付が上位であることからも評価されているのだろう.

 

 

●銀行(メガバンク)の労働時間や勤務実態と対価

 

確かに大手金融機関より給料が高い企業も少なからずある.マスコミ大手や財閥系商社,大手の不動産,海運企業などは日本企業で最上級の給与水準だ.だが客観的に見て大手金融機関の充実ぶりは決して引けをとらない.マスコミで言えば,TV局はそもそも既得権益であり,キー局の採用人数は各社両手両足で数える少々.電通の労働時間は自分だったら身体を壊す.財閥系商社の友人も皆漏れなくハードワーカーだ.財閥系不動産は採用人数が少なく最難関企業の1つである.   

 

それに比べ,メガバンクやマリンで働く友人はそれほど忙しそうにしていない.事実彼らはみな月45時間以内に残業時間が収まっている.企業毎に違うだろうが,メガバンクは総じて長時間労働を抑える方針を取っているように感じるのだ.不夜城と呼ばれた銀行の労働は昔の話なのだろう.とすれば,先ほど挙げた「高収入」「社会的ステータス」「安定性」に加え「激務ではない」という特典までついてくる.なんということだ.学生のイメージの勝ち組サラリーマンを絵に描いたような職業ではないだろうか.

 

 

●就職先としてメガバンクはおすすめか?

 

これまでの文章を読み返してみるとまるで大手金融機関,特にメガバンクを褒めて憧れているようであるが,決してそうではないことをお断りしておく.同級生でメガバンクや損保から転職した人間は少なからずいるし,仕事内容や労働環境が良好であるかどうかは配属部署や支店によってまったく違うからだ.少なくとも自身の収入以外の面で満足しているメガバンク行員を私は知らない. 

 

リクルーターは本音を語らず自社を持ちあげるし,親しくない先輩が本音を語ることもないので,実態は把握し辛いだろうから,一番簡単なのは「企業ミシュラン」をご覧になっていただくことだろう.企業文化硬直性や転勤の多さ.学歴社会など合う合わないが明確にあり,働きやすくやりがいのある職場は決して多くないと思われる.もちろん金融機関以上に仕事内容や労働環境が悪い企業は一部上場企業や大企業にもいくらでもあるが,銀行員にもう一度就職活動をやり直すとしたら銀行員になりたいか? と問うてみれば現実を現しているのではないだろうか. 

 

個人的に付け加えるならば,独立したり他のフィールドで戦うための能力が習得し辛いのではないかと思われる.社内決裁や社内事務処理には精通しても,自身の畑から出た時に武器になる専門性が身につくかと言えば疑問である.まぁこれは大企業の事務系従業員の共通の課題であり,自社に満足し業績が悪化しなければ考えるまでもないことなのかもしれないが. 

 

労働に対する対価が大いに越したことはない.だから給料水準が高くなく,労働時間が長かったり,労働環境が良くない企業が人気ランキングの上位に入っているのを見ると学生は何を考えているのか不思議に思う(上位300社に結構入っている).だから大手金融を志望する学生の選球眼は鋭いのかもしれない.あなたが旧帝国大か早慶大の学生であれば難関だが決してチャンスは少なくない(それ以外の大学の学生は相当難関).だけれども,銀行・損保・生保の具体的な仕事の内容を理解した上で,本当に志望しているのかを今一度じっくり考えて見てはいかがだろうか? 他の業種・企業へ目を向けると新たな発見があるかもしれない.