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★文系大学院生は就活で不利になる 文系大学院に進学する価値と対価★

大学院生の就活

→「頭のいい」女子はいらないのか——ある女子国立大院生の就活リアル

 

国立大学の女子大学院生の就活での苦労話が話題になっている。日本企業が賢い女子大学院生の扱いに苦慮している様子をレポートしたものだ。彼女の言わんとすることについては、概ね賛同できる。それでも本記事は、就活の応募者側からの一方的な感想であり、ひとつのケーススタディとして参考にするくらいが妥当であろう。採用側企業へのヒアリングや取材があるともっと良記事になっただろうに惜しまれる。

 

ただ、日本の就活の現場でどれだけ定性的で感覚的な採用活動が行なわれているかを知ってる立場からすると、この女子大学院生の経験には説得力がある。そして、採用の現場では馬鹿な中年の面接官が、男尊女卑の質問をしたり、ハラスメントに近い応対をすることなど日常茶飯事であることも事実だ(だから経営者は無能な人材を面接官や人事に配属せぬよう気をつけるべき)。

 

本記事は論点を、高学歴女子大生の就活の苦労にフォーカスしているが、就活における男女差の問題をジェンダー論で語るのではなく、文系大学院生の就活について少々考察することとしたい。

 

 


 

大学院生就活の根本的な問題は、男性or女性といった問題ではなく、日本の文系大学院の位置づけと立場、そして企業の採用姿勢である。女性だから不利とか、女性の高学歴就活が理不尽なことが多いという話ではなく、文系大学院に進学すると就活は圧倒的に不利になるということだ。

 

そんなことも知らずに院進学したとするならば、彼女の頭の良さには疑問符がつくし、プライドばかり高い学生は扱い難いと企業が判断した結果なのかもしれない。もう何十年も前から、文系大学院卒の就活は厳しく不利な状況というのは説明されてきた。それは噂話や感想文的なものではなく、書籍や論文でも指摘されている。

 

・人文・社会科学系の修士課程修了者の就職状況は、理学・工学の修士課程修了者、人文・社会科学の学部卒業者と比べて厳しいといえます。※「人文・社会科学系大学院生のキャリアを切り拓く: <研究と就職>をつなぐ実践」(一橋大学学生支援センター他著 2014)

 

・初職の獲得における優位性は、理系大学院>理系大学・文系大学>文系大学院。
・理系大学院に就職プレミアムがあり、文系大学院のそれは負である。

※「大学院卒の就職プレミアム 初職獲得における大学院学歴の効果」(日本労務学会誌 2015年16号)

 



 

要は文系大学院生は性別に関わらず就活では困難な状況に直面するということだ。この状況を肯定するつもりは微塵もないし、酷い状況であると思う。問題を嘆いても何も変わらないので、すべきこととして、以下の4点を提案したい。

 

「大学院卒業後のキャリアビジョンを院進学前に考えさせること」

「文系大学院への進学を選ぶ学生には就活不利な事実を伝えて、覚悟を問うこと」

「院卒で就活を実施する際に学部生とは差別化された強みを的確にPRすること」

「文科省や経団連が文系大学院生の積極採用を企業に訴えかけること」

 

そもそも、3回程度の面接で人材価値を評価する日本の就活の馬鹿げた判断基準が問題であろう。それでも昨今の人手不足で売り手市場の就活情勢では、学歴がそれなり良くて適応性や柔軟性があれば、文系大学院であっても就活でそれほど苦労することがないということは補足しておきたい。

 

ただし、自分が採用担当責任者であったら、根性のあるだろう体育会学部生と、計算に強い理系学生を採る。文系大学院生の活躍できるフィールドが思いつかないのも現実であり、これから文系院進学を選択する学生には、覚悟をもって進学していただければと思う(東京大学の大学院を卒業したとしても、大学教授になれるのは一握りだけという恐ろしい現実とともに)。

 

就活戦略