★イッテQがイモトアヤコと安室奈美恵の共演をHULUの特番配信に繋げた絶妙なマーケティング★

イッテQ

 

自分はNHKとテレ東の報道番組しかテレビは基本的には見ないのだが,イッテQだけは毎週楽しみに視聴している.ユニークで非常に面白いコンテンツだと思う.

 

 

2018年7月29日のイッテQは,1時間丸ごとイモトアヤコ&安室奈美恵の初共演特集であった.番組の面白さはご覧になっていただくとして,マーケティングの観点から注目すべき取り組みを実施していた.本特集のクロージングをHULUとの連携したことあり,続きはHULUへと繋げたのである.大変興味深く参考になるマーケティング事例となりうると考えたため,紹介することとしたい.

 

 

番組をご覧になっていない方のために簡単に経緯を説明しよう. 

 

したのである.

 

 

イッテQファンやイモトアヤコファン,安室奈美恵ファンに確実に響く宣伝であったと思う.テレビ放送は尺と枠の関係で,5時間や10時間収録しても,編集されて実際に放送される部分は30分とか1時間になる.面白いネタが撮れたとしても極限にまで短縮せねばならない.だが,ネットコンテンツは尺と枠の制限はないので,比較的自由に制作することができる.それを日テレとHULUのコラボレーションにより活用したのである.

 

 

テレビ視聴者をHULUに流入させる効果的な導線であり,仕掛けであると思う.もちろん裏にはHULUの大株主が日本テレビホールディングスであるという背景があるし,会員数伸び悩みに苦しむHULUのテコ入れの一環でもある.そして,安室奈美恵の軌跡を辿る体感型展覧会「namie amuro Final Space」の宣伝も兼ねている.

 

 

それでも,この取り組みの素晴らしい点は,テレビ視聴者というマスターゲットをネットサービスに遷移させた点にある.多くの企業の広報や企画に足りていないのは,このコンバーション(成約)の視点であるので是非参考にしていただきたい.というのも,広告・宣伝してその結果,どれだけのコンバーションがあったのか,またそれはどの広告媒体からの流入であったのかを正確に測ることが重要である.にも関わらず,大抵の企業は広告費と採用費は代理店や仲介企業の言いなりで,ほとんど検証できていない度し難い現実に良く直面するからである.

 

 

今回は明確に「イモト×安室奈美恵」というコンテンツに対してのアクションを測ることが出来るのが秀逸である.しかもイッテQの続編(舞台裏)をHULUに流すという仕組みとしており,素晴らしいアイデア&取り組みである.イッテQという民放屈指のコンテンツをネットコンテンツに繋げる.実に上手い仕掛けだ.

 

 

イッテQは録画も合わせれば,数百万人~千数百万人が視聴しており,そのうちの数%でもHULUの契約やコンテンツに流れるとするならば,もの凄い訴求力である.一つ一つの宣伝をパラレルに展開するのではなく,導線とコンバーションを考えた連携(コラボレーション)で展開する仕掛けは今回のイッテQ×HULUに限らず,大いに学べることがあるのではないだろうか?

 

 

最後に水をかける形で恐縮であるが,今回の取り組みは面白く参考になったものの,HULUがこれを機に再び成長できるか?と言えば懐疑的ではある.HULUは会員数が約150万人で伸び悩んでいる.これはHULUに限った話ではなく,競合のネットフリックスも日本市場で苦戦してシェアが伸び悩んでいる.この有料放送コンテンツに関する考察をすると長くなるので割愛するが,その理由は大きく3つあると考える.

 

  • 日本人(日本市場)と有料放送コンテンツの親和性の悪さ(→日本人の放送は無料との意識)

  • 日本人のリテラシーの低さ(大多数のテレビ視聴者は中高年~高齢者であり,ITリテラシーが著しく低い)

  • 圧倒的なAmazonの知名度と強さ(競合であるAmazonが価格やサービス内容で圧倒している)

 

一つずつ解説しても良いが,日本人は無料でテレビを見る慣習があり,有料の放送コンテンツのに課金をすることに抵抗がある.また,ITリテラシーが著しく低いのでHULU登録につまずく.そして,Amazonビデオという圧倒的な強者がライバルにいるため,HULUやネットフリックスが太刀打ちすることはできない.要約するとこの通り.

 

 

おそらく,圧倒的に魅力的なコンテンツを準備して配信したとしても厳しいだろう.それぐらいこの壁は高い.では,どうするのか? これは根本的な問題にメスを入れる以外にないだろう.民放放送局が国民の貴重な資源である電波を独占している点を責め,壊してしまえば良いと考える.

 

 

テレビで視聴できるチャンネルはわずか5局~10局程度であり,この腐った既得権益を打破するために,電波オークションを実施すべきであろう.そしてテレビのリモコンには12の番号があるので,空番号に新規の放送局を割り当てるべきだ.それが放送であろうが通信であろうがどちらでも良い.貴重な電波を既存放送局と広告会社が独占して,コンテンツ視聴の選択肢の少なさを国民に強いるような酷い状況を改善することを,声を大にして訴えかけたら良いのではないだろうか?

 

 

話が少々逸れたが,テレビとネットのコラボレーションと,広告のコンバーションの視点,先進国で唯一電波オークションも実施せず,選択肢の限られたテレビ放送環境への苦言を指摘して,締めることとしたい.

 

 

 

 

イッテQが沖縄で繰り上げ放送されることが話題になっているが,沖縄だけではなく地方では民放の放送局が見られない都市がたくさんある.ただでさえ欧米に比べて圧倒的に少ない日本のテレビ放送の選択肢が地方ではさらに減る.日本の民放に見る価値のある番組がどれだけあるかは別にして,日テレが見られない,フジテレビが見られない,テレビ東京なんて放送されていない地域の方が多い,というこの日本のテレビ放送の現実に,もっと国民は怒っても良いのではないだろうか? 日本人の残念なリテラシーは放送環境が起因している部分も大きいと考える.