★「モスバーガーの業績不振」記事から考えるガセネタとフェイクニュース「モスバーガーの課題」★

 

◆モスバーガーをディスってマクドナルドを持ち上げる記事から考察するガセネタ・フェイクニュースについて | モスバーガーの本当の課題◆

 

モスバーガーの業績

 

昔からガセネタををビジネスの種とする人は少なくなかったけれども,最近では新聞や雑誌からも平気でフェイクニュースがばら撒かれている.その中でも,テレビのワイドショーが情報弱者を洗脳する最も発信力の大きいメディアであるが,ネットの影響力が強くなった昨今は,ネットにでたらめな記事を配信する人々が増えて,それを見て真偽を判断できない人々に誤った情報を信じさせたり,カモにしたりしている.

 

ゴミ記事が多く配信されるネットメディアでその傾向は顕著だ.直近で話題になりつつ質が酷かったのは以下の記事だろう.

→モスバーガーが「創業以来2度目の絶不調」に苦しむ致命的な原因

 

 

マクドナルドの好調決算に対しモスフードサービスが減益であることを比較して,モスバーガーをディスる記事である.だらだらと長い文章が続くが,決算分析や経営分析の要素は欠片もなく,改善に繋がるような問題点を指摘できているわけでもない.読んだ後に発見も学びもない中身がスカスカな記事で,出来の悪い学生の感想文のようだ.マクドナルドを褒めるだけの提灯記事. 

 

そもそも,モスバーガーが業績不振かと言えば決してそんなことはない.IRを見ればすぐにわかる.成長はしていないけれども,業績は横ばいだ.この人件費高騰,人材不足を主因とする外食不況の中で,奮闘していると言ってもいいだろう.事実として言えることは「マクドナルドは業績が急速に改善して好調」「モスバーガーは売上横ばい,利益減」ということくらいだろう.

 

 

この現代ビジネスの記事が話題になったことに便乗して,更に香ばしい記事がITmediaから配信された.

 

→モスバーガーが「創業以来の絶不調」である、もうひとつの理由

 

モスバーガーの客数が伸び悩んだ原因は「分煙」であると主張し,マクドナルドが「全店禁煙」であることを事例に出して,禁煙への変革を促している.相関関係と因果関係もあったものではない.

 

確かに日本の煙草規制は問題だらけで,分煙の不備は多くある.全店禁煙にすることで嫌煙家や煙草が苦手な層の集客に効果を発揮するだろう.ただし,禁煙というのは,都心部のレストランでは既に取り組まなければならない必須要件となりつつあり,差別化戦略にはなりえない.

 

にも関わらず,モスの分煙を問題視して全店禁煙にすればすべての問題が解決して,業績が改善する展望を語る無責任な意見であろう.何かの問題に対して科学的・定量的な分析をせず,自身の主張を正義に繋げるような記事が本当に増えた.これは危惧すべき事態だろう.

 

 

批判や批評だけするのは非生産的な行為であるため,モスバーガーの業績がふるわないのはなぜか? 簡単に私論を述べたい.モスが成長鈍化した理由として,大きくは以下の2点に集約で説明できると考える.

 

①ライバルの攻勢「高級ハンバーガー」「回転寿司」

・高価格・高品質のハンバーガーショップが都会を中心に出店

・スシロー等の格安回転寿司店舗の増加

 

マクドナルドとの比較において,モスバーガーは「美味い」や「高品質」をPRすることができた.しかし,高級ハンバーガーショップの出店により,その強みは消えてしまった.ハンバーガーにこだわりを持つ層に対してモスの商品では訴求できない.なぜなら,とびきりより美味しいバーガーを他店が提供しているから.

 

そして,モスの顧客をごっそりさらっていったのが回転寿司店である.モスがターゲットとする家族連れがモスと同価格帯のスシロー,くら寿司,カッパ寿司に流れた.都市への出店を加速させる回転寿司は今後サラリーマンやOLのランチ需要も食うため,モスはさらに客を奪われることになるだろう.

 

以上は外的要因であるが,モスフードサービスの戦略も実にお粗末である.

 

②モスバーガーの商品戦略と価格戦略のミス

・中途半端な商品の価格

・旧態依然のオペレーション

 

マクドナルドがなぜ業績を改善させて好調なのか? 説明すると長くなるが,一つの大きな勝因として低価格商品の充実にある.マクドナルドは高価格商品と低価格商品を明確に分けたのだ.マクドナルドヘビーユーザに教えてもらったお腹がいっぱいになる最高にお得な商品の組み合わせは「チーズバーガー」×2個と「チキンクリスプ」である.合計360円!!!

 

マックのダブルチーズバーガーが320円/個であることを考えれば,衝撃的に安い価格である.この組み合わせに100円コーヒーを組み合わせてもワンコイン500円でお釣りが出る.マックは安い商品は徹底的に安いのだ.こちらで客数増を促しドリンク&サイドメニューで利益をカバーする.そして,ビックマックやグランを注文する顧客は利益の貴重な源泉であり,最高にありがたい顧客だ.

 

一方でモスの季節限定バーガーやご当地バーガーは商品も値段もどちらも酷い.別にモスを否定したいわけではないので細かく指摘するつもりはないが,あの商品戦略と価格戦略で新規顧客の獲得やリピーター需要を取り込めるわけがない.逆に現在の横ばいな業績は実に奮闘していると思う.モスを愛するロイヤルユーザーに支えられているのだろう.

 

オペレーションについては,モスは待ち時間がとにかく長いのだ.空いている時であればさほどではないが,複数人レジに並んでいると二次関数的に待ち時間が長くなる.オペレーションがマックの足下にも及ばない.テレフォンオーダーの受付もまだ実施しているし,モスのネット注文も微妙だ.ハンバーガーの品質を落とさずに,素早く提供できるオペレーションの改善余地は大きいだろう.

 

改善提案は全社的戦略と個別店戦略があるためここで安易に述べることはしない(コンサルティング契約は大歓迎).だが,テレビや新聞,雑誌,インターネット,ほぼすべてのマスメディア媒体について,ガセネタとフェイクニュースによる情報操作や偏向報道,世論誘導が増えている.

 

良質な企業研究・分析記事とはこういうコンテンツだ.→モスフードがしぶとく業績を伸ばし続ける理由

定量的な動向分析を実施して今後の課題も指摘している.エビデンスに基づき論理的に結論を出し,オピニオンに繋げており学びがある.

 

報道や記事を疑えというのは,言うは容易く実行するのは難しく面倒ではあるが,ガセネタに踊らされる側に立たないために,その情報は「ファクト(報道)」なのか「意見(コメント・オピニオン)」なのかを区別する視点を持つべきだと声を大にして意見を申し上げ,締めることとしたい.