★学生のメガバンク就職人気に陰り? 頭の悪いメディアに踊らされる学生の皆さまへ★

就職人気ランキング , メガバンク就職

 

「メガバンクは就職志望先人気トップで学生はメガバンクが大好きだった」「大手金融機関の就活人気の背景と待遇を探る」「メガバンクを避けて学生はどの企業を志望するのか?」「就職人気ランキングから学生が銀行と損保&生保を志望する理由を考察する」

 

 

先日(2014年2月26日)の日経新聞朝刊の広告特集にて「就職希望企業調査」として,いわゆる「就職希望ランキング」が掲載されていた.母数が文系約4000人,理系約700人と少ないのでこのデータが果たして学生の真意を本当に現しているのか? と言えば少々疑問ではあるが,就職活動のトレンドを掴むには非常に参考になるデータである.そしてその結果を見て実に驚いた. 文系の希望上位10社がすべて大手金融機関(銀行・損保・生保)なのだ.「どれだけみんな金融機関が好きなんだよw 半沢直樹効果か?」 なぜこれほどまでに学生に上位金融機関が人気であるのか,他業種と比較して客観的に分析するとともに,個人的に思うところがあるのでそちらを紹介しつつ,金融人気の理由を考察したい.

 

先ずは日経就職ナビが実施した調査結果を引用しよう 

 

<「就職希望企業調査」(2014年)> 

●文系大学生ランキング 

1位:東京海上日動火災保険 

2位:三井住友海上火災保険 

3位:三菱東京UFJ銀行 

4位:三菱東京UFJ信託銀行 

5位:みずほフィナンシャルグループ 

6位:損保保険ジャパン 

7位:三井住友信託銀行 

8位:三井住友銀行 

9位:日本生命保険 

10位:第一生命保険

 

●理系大学生ランキング 

1位:東日本旅客鉄道 

2位:東京海上日動火災保険 

3位:三井住友海上火災保険 

4位:三菱東京UFJ銀行 

5位:サントリーグループ 

6位:三菱UFJ信託銀行 

7位:日本生命保険 

8位:パナソニック 

9位:日立製作所 

10位:カゴメ 

 

10位がカゴメw 好きな商品とやりたい仕事と働きたい企業を混同してしまっているのだろう.学生の視野と世界が狭いのはいつの時代も変わらない.ひと昔前は,ITブームで2018年現在リストラに苦しんでいるNEC等が大人気だった.

 

 

●「高収入」「安定性」「ステータス」学生がメガバンクや大手金融機関や志望する理由

 

 

文系の学生の上位10社はすべて大手金融機関である.証券会社を除く「銀行」「損保」「生保」がトップを独占している.いやはや,実に興味深い結果だ.何故金融機関を志望しているのかの理由も学生に是非問うて貰いたいものである.個人的な意見を述べれば,大手金融機関を志望する学生の本音は大抵次の3つだ. 

 

「給料の高さ」「安定性」「社会的ステータス」 

 

この理由を学生が志望動機で語ることは決してないだろうが,損保・銀行・生保を志望するのに,本気でやりたいことや夢を重ねる人間などいないだろう.だって重なりようがないから.理系で数学を極めた人間が商品設計や企画をしたいというのはあるかもしれないが,それ以外に説得力のある理由を聞いたことがない.住宅ローンや保険商品の販売,国債の運用が人生でやりたいことである人間がどこにいる? 

 

「日本経済を元気にしたい」「M&A事業を手掛けたい」「中小企業に積極的に融資したい」

 

などと一生懸命に考えた志望動機を語るだろうが,では「なにするの?」「なにしたいの?」と問われて明確に自身の考え方や働き方を語れる学生はほとんどいないだろう.それに,金貸しには金貸しのルールがあり,担保がなければ貸すことはできない.夢や希望を語るだけでは金は借りられねぇよ! 熱くなってしまった,失礼.

 

もしかしたら「グローバル」という視点で志望する学生も結構いるのかもしれない.だが国内外のビジネスの比率を考えればメガバンクでグローバル事業に関われる確率は低く,商社はもとより海外販売比率が高いメーカーに行った方が英語スキルを活かしたり,海外駐在のチャンスは多いはずだ.一昔前は外資系金融があれほど人気であったのに時代は変わるものだ. 

 

とすれば,仕事内容で志望しているというのは就活対策用のネタであり真実ではない.つまりは大手金融のイメージが良いのである.「カッコ良くて給料が高い」そんな社会人になりたいと思い志望しているのだ.大いに結構ではないか.私はこの結果を否定するつもりは毛頭ないし,なかなか打算的であると感心する.「金融は虚業だ」といったり「ものづくりこそ日本の根幹」などど吠える人間もいるが,頭の中はきっとお花畑なのだろう.

 

 

●メガバンクの給料は高い!大手銀行の給与は総合電機メーカーの1.2倍~1.5倍(35歳で1000万円は堅い)

 

 

実際に大手金融機関の待遇は実に良い.大学の同期を見ても大学院卒30歳で1,000万円を超えたというものの話をチラホラと聞いた.彼は月に40時間程度の超勤をしており,残業代にもよるので一律には語れないが,入社10年目で800万円を割っている者はほとんどいない印象だ.

 

逆に銀行員の一般職の給料は驚くほど安い.メガバンクでもだ.住宅手当等の各種手当もほとんどなく,一般職になるのであれば断然損害保険会社の方が待遇が良い.こういう事実を学生に教えてあげるべきだろう.

 

これを高いと見るかそれほどでもないと見るかは,その人の立っている場所によっても違うのだが,日本の30代正社員平均年収(DODA調べ2013年)が「458万」とのことなので,30歳前半にして平均年収の約倍の水準である.身近な友人の実績と比べれば,世界一の売上を誇るトヨタよりも10%~20%高いくらいだろうか.総合電機は企業によるが,トヨタより10%~20%程度低い水準なので「給料は金融がメーカーの1.5倍」という定説は実に言い得て妙である. 

 

そして「社会的ステータス」の観点から言えば,社会的信用力,社屋の立派さ,就職人気上位と大したブランドである.安定性はメガバンクに関して言えば大きすぎて潰せないのがリーマンショックでも実証されたし,他の大手金融も格付が上位であることからも評価されているのだろう.

 

もちろん,大手金融機関より給料が高い企業も少なからずある.マスコミ大手や財閥系商社,大手の不動産,海運企業などは日本企業で最上級の給与水準だ.だが客観的に見て大手金融機関の充実ぶりは決して引けをとらない.マスコミで言えば,TV局はそもそも既得権益であり,キー局の採用人数は各社両手両足で数える少々.電通の労働時間は自分だったら身体を壊す.財閥系商社の友人も皆漏れなくハードワーカーだ.財閥系不動産は採用人数が少なく最難関企業の1つである.   

 

それに比べ,メガバンクやマリンで働く友人はそれほど忙しそうにしていない.事実彼らはみな月45時間以内に残業時間が収まっている.企業毎に違うだろうが,メガバンクは総じて長時間労働を抑える方針を取っているように感じるのだ.不夜城と呼ばれた銀行の労働は昔の話なのだろう.とすれば,先ほど挙げた「高収入」「社会的ステータス」「安定性」に加え「激務ではない」という特典までついてくる.なんということだ.学生のイメージの勝ち組サラリーマンを絵に描いたような職業ではないだろうか.

 

 

 

●メガバンクは就職先として相変わらずオススメ.労働時間や勤務実態と対価の考察

 

 

これまでの文章を読み返してみるとまるで大手金融機関,特にメガバンクを褒めて憧れているようであるが,決してそうではないことをお断りしておく.同級生でメガバンクや損保から転職した人間は少なからずいるし,仕事内容や労働環境が良好であるかどうかは配属部署や支店によってまったく違うからだ.少なくとも自身の収入以外の面で満足しているメガバンク行員を私は知らない. 

 

リクルーターは本音を語らず自社を持ちあげるし,親しくない先輩が本音を語ることもないので,実態は把握し辛いだろうから,一番簡単なのは「企業ミシュラン」をご覧になっていただくことだろう.企業文化硬直性や転勤の多さ.学歴社会など合う合わないが明確にあり,働きやすくやりがいのある職場は決して多くないと思われる.もちろん金融機関以上に仕事内容や労働環境が悪い企業は一部上場企業や大企業にもいくらでもあるが,銀行員にもう一度就職活動をやり直すとしたら銀行員になりたいか? と問うてみれば現実を現しているのではないだろうか. 

 

個人的に付け加えるならば,独立したり他のフィールドで戦うための能力が習得し辛いのではないかと思われる.社内決裁や社内事務処理には精通しても,自身の畑から出た時に武器になる専門性が身につくかと言えば疑問である.まぁこれは大企業の事務系従業員の共通の課題であり,自社に満足し業績が悪化しなければ考えるまでもないことなのかもしれないが. 

 

労働に対する対価が大いに越したことはない.だから給料水準が高くなく,労働時間が長かったり,労働環境が良くない企業が人気ランキングの上位に入っているのを見ると学生は何を考えているのか不思議に思う(上位300社に結構入っている).だから大手金融を志望する学生の選球眼は鋭いのかもしれない.あなたが旧帝国大か早慶大の学生であれば難関だが決してチャンスは少なくない(それ以外の大学の学生は相当困難).だけれども,銀行・損保・生保の具体的な仕事の内容を理解した上で,本当に志望しているのかを今一度じっくり考えて見てはいかがだろうか? 他の業種・企業へ目を向けると新たな発見があるかもしれない.

 

と,ここまで記したのが2014年頃であった.4年たって状況が様変わりしたので追記することとしたい(2018年5月加筆).

 

 

●メガバンクの就職先人気に陰りというがメガバンクを志望せずにどこに就職するのか? 地銀が10年後に息をしているか?

 

 

 

新聞やテレビやネットがメガバンクのリストラを面白おかしく,不適当に騒ぎ立てて報道したため学生の就職先としてのメガバンク人気が下がったという.

 

 

一般的なの日本人の傾向として,メディアの情報を鵜呑みすることがあり,影響力のある人や識者が発信する情報も信じて疑わない.その情報は事実か?を確認しないどころか,その背景や原因を類推することなんてほとんどしない.

 

イルカのように(一定数は)褒美を与えられれば学んで賢くなるけれども,餌を与えられて飼いならされた我々は,なぜ飼われているのか? 自分で選んで生きたいといった想像はしないものだ.飼われることと自由でいることのどちらが幸せかという哲学は別にして.

 

メガバンクの就職先人気が上がろうが下がろうがどうでも良いのだけれども,メガバンクを避けてどこに就職を希望するのか? を観察していると大変に興味深い.総合商社? 総合商社は2000年頃時点からずっとメガバンク人気を上回っていたし,元々採用数も少なく受け皿になり得ない.優良企業と呼ばれる就職先が純粋に減じてしまっただけなのだ.

 

メガバンクの給料は高く,大きすぎて潰せない.そして日本企業は正社員をリストラすることは(ほぼ)できない.

 

であるならば,メガバンクを就職先に選ぶのは賢く合理的な選択であったのだ.自分の腕や能力で勝負したいのであれば,GoogleやAmazonやFacebook,Appleなどの米IT企業や,マッキンゼー,ボストンコンサルティング,ベイン等のコンサルや,ゴールドマンサックス,モルガンスタンレー等の外資金融機関を志望すれば良いのであって,就職時の学歴とコミュニケーション力(笑)のアピールだけで,運が良ければメガバンクに就職できるプラチナカードの争奪戦にトライしないのは理解に苦しむ.

 

マイナス金利で収益が赤字に瀕して,地方が衰退する中,元々の存在意義が問われて,価値を生み出すことができず,住宅ローン販売による薄利や,クソみたいな金融商品や保険を根性営業で販売して手数料を稼ぐビジネスモデルである地方銀行を,それでも志望する学生がいるくらいなので,就職先選択はリテラシーとセンスの問題なのかもしれないが,メガバンクが危ないとか,リストラの危機だとか,将来性がないなどという言葉を信じて,他の就職先を選んでしまって失敗しないことを老婆心ながら願っている.

 

メガバンクが危機に瀕したり,潰れはじめたら,日本の大抵の企業は存続できていないくらいに景気が悪化して,日本の危機になるだろう.つまり,懸念と心配の優先順位を間違えていないか? ということである.原発事故よりも,交通事故に遭う確率の方がずっと高いことすら計算できない人材を輩出してきた日本の教育と社会では仕方がないことかもしれない.健闘を祈る.

 

 

「東大を卒業してメガバンクに就職して自己実現を夢見る話(追記)」

 

 

東大を卒業してメガバンクに就職したがすぐに退職した話がヤフーニュースのトピックスに掲載されて盛り上がっている.スカスカの内容の記事でもヤフーニュースにさえ掲載されれば数十万のアクセスが得られ,読者から広告収入が得られるので,ゴミのような内容のコンテンツが日々量産される.東大まで出て留学経験もあってどうしてこんなに浅はかなのだろうか? と不思議な投稿である.アクセスを稼ぐための釣り記事(創作話)だとは思うが,ツッコミどころが満載なので,考察することとしたい.

 

 

  • 銀行は肌に合わないのではないか
  • 自由奔放に生きたい
  • 自分の住む場所を自分で決められないことに強いストレス

 

→パワーワードの登場率が高くて思わず唸る.業界分析・企業分析をしておきなよという話ではないか.決められたことを,迅速かつ的確に実施でき,ルーチンワークを厭わないことがメガバンクの若手に求められるスキルであり,肌に合わないとか自由奔放とか述べている時点で使い物にならない.

 

転勤制度の是非はさておき(転勤は日本の馬鹿な制度だとは思っている),メガバンクは転勤が前提にある.転勤はメガバンクの業務の一部であり,それを否定して入社してくるなという話である.転勤が嫌ならば,転勤のない企業に勤めれば良いだけの話だ(転勤を肯定しているわけではなく,勤務地を選べるようになれば良いし,東大新卒ならいくらでも選択肢はあった).

 

  • お金を稼ぐことに関わる知識とスキルを身につけたい
  • 自分の頭で考えることが期待されていない

 

→業務を通じて知識やスキルを得られるのに越したことはないけれども,学びたいことは主体的に学べば良い.メガバンクに何を期待しているのだろう? リテール,法人営業,資産運用,経営支援あたりが主要業務であり,担当業務に従事することによる経験は蓄積されるが,メガバンクで金稼ぎに関する知識やスキルが合理的に身に付くとは思えない.

 

  • 大学院を目指して勉強をしています
  • 自分が成長できる場所で働きたいと考えるようになりました

 

→そうですか,頑張ってください.以外に発する言葉を思いつかないが,実家が太ければ社蓄としてアクセス働く必要もないし,学問を追求するのも楽しいだろう(羨ましい).ほとんどの人は時間と労働の対価として賃金を得ているわけで,カネの心配がないのであれば,ドラクエじゃあないけれども,永遠にレベルアップに取り組むのが幸せなのではないだろうか?

 

仕事の成長ややりがいは,職種や組織や上司や同僚によっても異なってくるので一概には言えないが,メガバンクに就職することの最大のメリットは,絶対的な安定性と社会的なステータス,30歳を過ぎての高給料が約束されることと,そして大企業で社会人をスタートすれば,ライフネット生命の岩瀬氏が入社一年目の教科書で提唱したような,一般的な教養やスキルは身に付くはずであり,その機会を棒に振ったのはもったいないとしか言いようがない.そして,新卒採用というプラチナカードを手放してしまったのもリスクリターンが計算できていないのではないか.

 

メガバンク退社の主人公をややディスるような記事になってしまったが,目的はそんなことではなくて,企業と学生の採用マッチングの不一致が甚だしいのではないか? という疑問提起である.某みずほ銀行が「銀行員らしくない人にあいたい」という不思議な採用キャッチフレーズを発信したことが話題になったが,場合によっては10回近いリクルーター面談を経て,採用側は何を評価しているのか? という話だ.

 

労働環境や先輩は良かったけれども転勤が嫌だから辞める(`・ω・´)キリッ

 

という人材まで見抜けとは言わないが,日大アメフト部の部員のような命令に忠実なソルジャーを雇いたいのか,ルーチンワークではなく少しでもクリエイティブな仕事に期待したいのか,その辺りの整理と業務くらいは明確にしておくべきではないだろうか? そして繰り返し面接してもあまり意味がない(科学的かつ定量的な評価指標を持たずにどうしてまっとうに選考できるのか?)ので,そろそろ従来型の採用フローを再考すべきであると考える.

 

そして「転勤は非生産的(企業にも雇用者にも負担)だから止めてしまえ!」 と改めて述べて締めることとしたい.※転勤の結果,楽しい人生になったという話もあるので一概には否定できないものの,希望者を募った方が労使双方にとって幸せではないだろうか?

 

就活対策