★「レゴランド失敗」の理由 ディズニーとUSJの比較と考察★

★「レゴランド失敗」の理由 ディズニーとUSJの比較と考察★

 

レゴランド名古屋

 

◆「チケット料金が高い」「アクセスが悪い」「商圏人口が少ない」「コンテンツに魅力がない」レゴランド名古屋は失敗し,第二のシーガイアになるだろう.復活に向けての処方箋を考察◆

 

2017年4月1日に名古屋にレゴランドがオープンしました.テレビをはじめとするメディアは特集を組んで盛大にPRを実施しましたが,スタートから大きく躓いているようです.立地やアクセスの関係上,名古屋の金城ふ頭でテーマパークを経営するのは難しいだろうなと予想していましたが,チケット料金やアトラクションの内容に,厳しい運営を余儀なくされるという結論に達しましたので,考察します.開園前のレゴランドをヨイショする報道や記事ばかりの中,本当に成功すると思っているのか? という冷や水を浴びせることになりますが,ご容赦ください.なお,批判や駄目出しするだけなら馬鹿でもできるというのが弊社のポリシーですので,自分がコンサルティングするならどうするか? という観点でも綴りますので,レゴランド様,メイカーズピア様,に限らず,その他事業改善を検討している企業様,コンサルティングの依頼お待ちしております!

 

 

①チケット料金が高過ぎる(無謀なチケット価格) ← 価格設定が駄目

 

レゴランドチケット料金 , レゴランドが駄目な理由

↑複雑なチケット価格.シンプルプライスが望ましい.

 

レゴランドのチケット料金(1Dayパスポート)は「大人:6,900円」「こども:5,300円」です.この料金を見た瞬間にレゴランド名古屋の失敗を確信しました.大人2名子ども2人の家族4人で遊びに行ったら,24,400円になります.笑えますね.なんでこの価格設定にしているかと言えば,ディズニーランドとユニバーサルスタジオジャパンをターゲットプライスとしているからでしょう.

  • レゴランド「大人:6,900円」「こども:5,300円」
  • ディズニー「大人:7,400円」「こども:4,800円」
  • USJ「大人:7,600円」「こども:5,100円」

何百万人ものファンとリピーターを持ち,圧倒的なロイヤルティのあるディズニー.そして,コンテンツの魅力としては間違いなく日本一であろうユニバーサルスタジオジャパン.この2大テーマパークをライバルとして想定しているところが,志が高いというか自意識過剰で見てて辛いです.夢は大きくビジョンは壮大に!というのは結構ですが,事業計画には精緻なマーケティング分析が必要であることをレゴランドは身をもって示してくれました.

 

何よりも致命的なのは子ども料金でしょう.レゴランドの子どものチケット価格は,ディズニーやUSJよりも高額に設定しています.例えばチケット価格を大人7,000円&子ども3,000円と設定するのと,大人6,000円&子ども4,000円と設定するのでは,総額は同じでも結果に驚く程に差が出ます.生活必需品は価格弾力性が小さく,遊園地などの贅沢品は価格弾力性が大きいなどという話をしたいのではなく,こども料金設定を割高にすることは感情を逆撫でする悪手です.パパママ&子ども2人,パパ&子ども2人など,ケースを想定すればすぐにわかるものなのですが,理解に苦しみます.

 

ちなみに,年間パスポートの料金はUSJを真似たのか,非常にリーズナブルに設定してありますが,ちょっと戦略が理解し難い価格設定です.

 

●レゴランドがチケット価格を値下げへ(前売り割引チケットを開始)(2017年5月25日追記)

レゴランドが割引チケットの販売を発表しました.

テーマパーク「レゴランド・ジャパン」(名古屋市港区)の運営会社は25日、年内入場分まで、最大25%割り引く1日券「ファミリー1DAYパスポート」の販売を始めたことを明らかにした。詳細は以下の通りです.

 

「ファミリー1DAYパスポート4」

※4人分の1DAYパスポート(通常料金):24,400円

・入場日の2~6日前まで:19,600円

・入場日の7日以上前:18,300円

 

「ファミリー1DAYパスポート3」

※ 3人分の1DAYパスポート(通常料金):19,100円

・入場日の2~6日前まで:15,600円

・入場日の7日以上前:14,700円

はっきり言って愚策だと思います.当初のチケット価格の設定を間違えてしまったため,値下げは致し方ありませんが,このわかりにくいチケット価格の設定は,耳を疑うレベルの酷さです.まず,7日前以上と,2~6日前までで料金を変えているのがわかり辛い.チケット発行オペレーション等を考えれば,出来るだけシンプルにすることが望ましいのは言うまでもありません.加えて,予定が変更になったらどうなるのか? という純粋な疑問に「よくある質問」で次のように答えています.

 

Q.購入後にファミリー1DAYパスポートの入場日の変更はできますか?

A.あいにく、お日にちの変更は出来ません。

 

つまり急用により訪問できなくなった場合にチケットは紙くずとなります.ディズニーチケットと違って流動性があるとはとても思えないので,転売も厳しいでしょう.天候によって訪問するかどうかを決めることが多いレジャー施設にとって,このチケット変更不可は致命的です.経営者かコンサルは随分と知恵が足らないようです.

 

加えて,設定が3人もしくは4人に限定している点も理解に苦しみます.レゴランドのターゲット的に「パパ&子どもで遊びに行く」というシーンは大いに考えられるのですが,親子2人組み合わせの割引がないのは機会損失ではないでしょうか.

 

ディズニーもUSJも前売り割引チケットを導入していない中,チャレンジする姿勢は評価したいと思いますが,客へのインセンティブ設計がまったく出来ておらず,稚拙な取り組みであると言わざるを得ません.レゴランドの相次ぐバッドニュースは,レゴ自体のブランド棄損にも発展しかねず,本腰を入れて対策をしないと,赤字を垂れ流す不良債権になる可能性が大きいと考えます.

 

最後に,チケット価格は生命線なので精緻なシミュレーションが必要となり,安易なことは言えませんが,否定してばかりいるのは馬鹿な政治家と変わりませんので,自分が経営者なら次の案を検証させます.

 

「レゴランド「団体割引」チケットの強化」

つまり,小学校の遠足や子供会で大人1人に対して,子どもN人(例えば10人)というケースに来てもらうため,一定数以上の団体に対しては,一律でチケット料金を1000円にするといった設定にします.そもそも,現在の料金設定では団体客を受注するのは困難であり,レゴ教室的なものを開催することと併せて実施できれば,レゴランドに行きたい!という潜在需要を開拓できるのではないでしょうか?

 

(※追記:学校団体プログラムがありました,お詫びして訂正いたします.ただこちらのプログラムは30日前までの申し込みが必要であり,一般団体の割引は300円程度と無きに等しいですので,団体割引チケットの使い勝手の良さの向上は課題であると考えます.)

 

 

●レゴランドが夏休みキャンペーン(割引価格)を発表(2017年8月15日追記)

 

レゴランド名古屋が新たな施策(キャンペーン)を発表しました.詳しくは以下のリンク先をご覧になっていただければと思いますが,大胆な値下げの一手を打ってきました.

 

→【年間パスポート限定】サマー・サンキュー・キャンペーン(LEGOLAND JAPAN)

【特典1】同伴者2名様までの1DAYパスポート 無料

【特典2】レストランでのお食事代が30% OFF

夏休み期間中の値下げであり,残念ながら愚策と考えるのでその理由を述べます.それは,売上効果が低いことと販売機会損失が発生することが主な理由です.年間パスポートの保有者に対して,2名同伴無料にするという本企画は,稼ぎ時である夏休みに打つ施策として駄目な部類に入ると思います.

 

利用シーンを想定すればわかりますが,既存の年パス保有者が新たな客を連れてくるものの,その新規客はチケット料金を支払わない.チケット収入の機会損失になります.逆にこの夏にレゴランドへ遊びに行こうかと検討していた潜在顧客については,通常料金の6,900円でチケットを購入する選択が失われる.何故なら年間パスポート17,300円で3名が入場出来ることなり,通常チケットを購入するメリットは皆無であるためです.

 

そして,事前に購入したチケットのキャンセルや差額分の返金はできませんと注意事項に記載されており,

事前にレゴランドへの訪問計画を立てていた客の心証を害するとともに,現地でこのキャンペーンの案内がされず,通常チケットを購入してしまった方は損をした気持ちになることでしょう.

 

価格戦略は経営戦略と事業運営の基本であり,先に追記した通りシンプルプライスが望ましい.ディズニーランドやユニバーサルスタジオがどうしてキャンペーンを実施していないのかといえば,ブランド価値や信頼性を損なうからです.安易なキャンペーンは実施するべきではなく,それでもテコ入れのために実施するのであれば,夏休み期間中の大人1名に対して2名ないしは3名の子ども料金無料施策でしょう.

 

具体的には「夏休みレゴ作品自由研究」企画を立てる.保護者同伴を必須として,大人1名に対して子どもを無料にすれば,良いキャンペーンになったはずですし,大きな集客が見込めたことでしょう.壮大なレゴ作品を作ることを目的に,2日間プランや3日間プランを立案していれば,年パス購入のインセンティブにもなったことでしょう.それを小手先の入場無料キャンペーンに走り,その効果が懐疑的であることに疑問を感じ得ません.

 

 

②アクセスが不便(電車でも車でもアクセスし辛い)← 立地に競争力がない

 

 

次にレゴランド名古屋の場所を確認しましょう.名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地.最寄駅はあおなみ線の金城ふ頭駅です.あの過疎っているあおなみ線の終点です.名古屋駅から金城ふ頭駅は23分.そんなに遠くないように思いますか? 金城ふ頭駅から更に徒歩で約10分かかります.行きは良いかもしれませんが,帰りの駅までの徒歩10分はしんどいでしょう.ちなみに,大阪駅からユニバーサルシティ駅は最短12分です.東京駅からディズニーのある舞浜駅までは最短16分.主要ターミナル駅からのアクセスで劣っています.もう一つのメインの交通手段である自動車でのアクセスは名古屋駅からだと約30分.結構な時間がかかります.駐車料金は平日1,000円,休日1,500円とディズニーに比べると半額程度なのが救いでしょうか.

  • レゴランド:名古屋駅↔金城ふ頭駅23分+徒歩10分
  • ディズニー:東京駅↔舞浜駅16分+徒歩5分
  • USJ:大阪駅↔ユニバーサルシティ駅12分+徒歩5分弱

間違えて欲しくないのが,レゴランド名古屋はへんぴなところにあると言っているのではありません.ただ,残念ながら便利なところにあるわけではなくアクセスも良くない.この点は非常に重要で,遠いな,不便だなという感情を利用者に想像させて感じさせることは,間違いなくウィークポイントになります.

 

 

③商圏人口が少ない ← ターゲット人口が小さくてヤバイ

 

レゴランド

↑レゴランド・ビルン(デンマーク) USJのように魅力的

 

次にレゴランド名古屋が厳しい理由として,ターゲットの基礎となる商圏人口が小さいことが挙げられます.これは単純に東京や大阪と比べて名古屋の人口が少ないというだけではなくて,レゴランド名古屋に1時間以内でアクセスできる人口を比べてみればすぐにわかります.ディズニーは別格なので置いておくとしても,USJは神戸や京都からも1時間以内でアクセスが可能です.レゴランドも馬鹿じゃないので,間違いなく事前にリサーチしているはずなのですが,商圏人口の弱さを甘く見すぎていると思います.

 

加えて,ただでさえ名古屋は観光の魅力に欠け,近隣県からの観光流入数が脆弱です.そして外国人旅行客であるインバウンド需要も札幌や福岡に比べても劣る状況.おそらく,ハウステンボスのようにレゴランドを訪れるためだけに名古屋を訪れる客も期待しているのでしょうが,次に述べる通り,そもそもテーマパークの魅力自体に欠けているため,絶望的に厳しいと思います.

 

 

④レゴランドのコンテンツに魅力がない ← 誰がレゴランドに行くのか?問題

 

レゴランド作品

↑レゴランド・ビルン(デンマーク) の展示作品.これを製作するプロジェクトなら参加したい

 

コンテンツは定性的に語ってしまいがちですが,定性的な議論は不毛になることが少なくないので,端的に数字の話をしましょう.個人的にはコンテンツ論は,人の欲望に訴えかけるため,数字より感覚的なものであると考えていますが,ここは敢えて誰もが納得できるように記します.

  • レゴランド:敷地面積9.3万平方メートル,総事業費320億円
  • ディズニー:敷地面積48.3万平方メートル,総事業費3,500億円以上
  • USJ:敷地面積39万平方メートル,総事業費1,700億円以上

 ※ディズニーランドとUSJは毎年投資を重ねているため初期の参考値.

 

もう議論をすることさえ馬鹿馬鹿しいのですが,基本的に事業の成否は「ヒト・モノ・カネ」の総量で決まります.コンテンツの魅力は投資価格に比例することが明確であり,USJの5分の1以下の投資しかなされていないレゴランドのチケット料金が同程度という時点で完全に失敗であると考えます.というか,マーケティング調査をしたのか?というくらいお粗末な状況に驚きます.

 

そして,もう一つ致命的というか客を馬鹿にしていると考えるのが営業時間です.営業時間は曜日やシーズンによっても異なりますが,わかりやすく土日祝の営業スケジュールで比べてみましょう.

  • レゴランド:10時00分~19時00分
  • ディズニー:08時00分~22時00分
  • USJ:09時00分~21時00分

レゴランドは9時間営業,ディズニーランドは14時間営業,USJは12時間営業です.レゴランド名古屋は営業時間が短いことがわかります.そして,誰もが本当は理解していながら発言しないので敢えて言いますが,レゴランドで何時間遊べるんだ?という疑問があります.

 

ディズニーは空いている日(そんな日は存在しない)でも14時間めいいっぱい遊べますし(しんどいので苦手だけれども),USJも混雑していない日(そんな日は存在しない)アトラクションがいっぱいで12時間まるまる遊んでも遊び尽くせないくらいです.一方でレゴランドはガラガラの日に(平日だけではなくて休日も可能性大)9時間遊べるだろうか?と考えると,敷地面積やアトラクションの数からも大変に厳しいです.だから営業時間も短く設定しているのでしょうが,だったらチケット料金を下げろよ!というのが客の正直な意見でしょう.

 

レゴランドの否定ばかりをしていて,ディスっているかのような印象を与えるのは本意ではありませんので,レゴランドの運営を成功させるためにはどうしたら良いのか?という建設的な意見を述べたいと思います.

 

 

●名古屋レゴランドはどうすれば成功できるのか? 業績改善&成功への処方箋

 

レゴランドの業績不振

↑メイカーズピアも苦戦中.金城ふ頭はゴースト化の懸念あり.

 

はっきりいって厳しいと考えますが,弊社がコンサルティングを請け負うのであれば以下の提案をします.なお,致命的なチケット価格については,いくらにするかは詳細分析が必要ですので省きます(1Dayパスの値下げは必須.年間パスは値上げし辛いので致命的).根拠もなく価格を半額にしろ!とか無責任なことを提案するコンサルも多いので,お気を付けください.

  • ①再入場を許可する(入退場自由)
  • ②レゴランド名古屋でしか購入できない商品の販売
  • ③レゴ教室(レゴスクール)の開催
  • ④持ち込み飲食物の自由化&園内飲食バイキング化

①レゴランドの再入場を許可する(入退場自由)

 

効果は薄いかもしれませんが,稼働が特別増えるとも考えられないので,許可すべきでしょう.隣にメイカーズピアが営業しているのですから,そちらとの相乗強化も狙って実施するべきであると考えます.そもそもレゴランドに長時間滞在して楽しめるコンテンツがないというのが致命的ですが,他の施策を組み合わせることで効果を発揮させることは可能であると考えます.

 

②レゴランド名古屋の専用(オリジナル)商品販売

 

ディズニーやUSJの利益率が高い部門は物販です.東京駅でどれだけディズニーの袋を抱えた人がいることか.つまりお土産需要を取り込む必要があります.どこにでも売っているレゴ商品では消費者に訴求することが出来ないので,レゴランド名古屋でしか購入できない商品を開発してリーズナブルに販売するべきでしょう.もしくは,入場料を下げて物販で稼ぐかの2択であると考えます.

 

③レゴランドでレゴ作品製作教室(レゴスクール)の開催(コンテストなど)

 

東京の「レゴランド・ディスカバリー・センター東京」で実施して成功している取り組みですが,レゴ教室を開催すべきです.レゴの魅力は何か?と聞かれて,作品を鑑賞することと答える人は少ないでしょう.この点がレゴランド名古屋の最大の失敗だと考えます.

 

名古屋城やナゴヤドーム,国内各地の名所や世界遺産など,日本中の建物500施設が1000万個以上のレゴブロックで,延べ50万時間かけて再現されていることを売りにしていますが,完成品を見て何が楽しんだということです.少なくとも体験や感動がなければ,リピーターにはなりえない.

 

レゴランド名古屋が実施すべきであったのは,この壮大な作品をお客様と一緒になって作るという視点でしょう.もちろん一部は完成させていなければ,見せるものがない問題が発生しますが,お客様と一緒になってレゴランド(レゴ作品)を作って行くんだ!という体験プロジェクトを発足させれば,年間パスポートの購入インセンティブにもなりますし,自分が作ったレゴ作品がギネスに載った!などと自慢できる仕組みは,顧客獲得の一手となりえると考えます.

 

④レゴランドの持ち込み飲食物を許可する&バイキング制が理想

 

評判の悪い飲食物チェックは止めた方が良いでしょう.チェック稼働が馬鹿らしいですし,印象が悪くなります.それに,レゴランドのレストランのコストパフォーマンスの悪さがネットでこれだけ報告されている今,飲食を副収入の柱にするのは厳しいでしょう.であるならば,レゴランドのレストランをバイキング化して,1Dayパスの利用者は無料に,年間パス利用者は+1000円で食べ放題&飲み放題を実施すれば,利用者の心をつかめるのではないかと考えます.子ども連れがメインターゲットですから,飲食原価は大したことありませんし,差別化戦略としては一考の価値ありでは?と提案します.

 

 

◆レゴランドはなぜ失敗したのか? 希望的観測を事業計画にするのは愚かな選択◆

 

これまでにレゴランドが失敗するだろう理由と処方箋を述べてきましたが,それでもレゴランド名古屋の運営は厳しいだろうと考えます.建築物やインフラ,自動車をはじめとする工業製品だけでなく,プロジェクトも基本設計を間違うと取り返しがつかないという大変わかりやすい事例をレゴランドが身をもって示してくれたので,我々は学ばねばならないでしょう.最後にレゴランド名古屋の失敗理由をまとめて振り返ります.

 

 

●ターゲットが小さく客層拡大が期待できない

 

ターゲット戦略の根本的な失敗です(他にも戦略がイマイチ過ぎてツッコミどころは満載ですが).レゴランドのターゲットは「2歳から12歳までの子どもを持つ家族」とのこと.少子高齢化の現在に幼児と小学生を持つ家族をメインターゲットとしているところが苦しいと言わざるを得ません.このターゲットがおかしいと言っているのではなく,他のテーマパークのほとんどがこの層をメイン・サブターゲットにしており,差異を示すことが出来ないのが問題なのです.キッザニアのように,ユニークな価値をPR出来ればまだ良いですが,レゴランドはテーマパークの1つでしかありません.文字ではわかりづらいかもしれませんので,簡単に図にしてみました.

 

↑ターゲット層が限られボリュームが少ないことが容易に想像できる

 

 

滅茶苦茶ざっくりとした図ですが,大体は理解していただけるのではないでしょうか? これはもちろん最低限の属性分析ですが,まぁそういうことです(※JR九州のななつ星に乗るような裕福な老夫婦のような超優良市場も存在しますが,省いています).レゴランドの現在のターゲットはじり貧であるけれども,かといって他のターゲットもコンテンツ的に攻めづらい.まさに泥沼です.

 

 

●レゴランドは希望的観測で入場者数目標を設定

 

名古屋レゴランドは,年間入場者数の目標値を200万人に設定しているとの報道発表がありましたが,弊社は半分の100万人どころか,4分の1の50万人も危ういのでは? と考えています.もし権利行使価格200万人(入場者数)のコールオプションがあれば,全力でショートするくらいの確信があります.細かい分析は省きますが,企業や行政に関わらず悪しき習慣として,適切な分析や根拠なく,希望的観測だけで目標の数字を掲げることがあります.

 

東芝のチャレンジでの不正会計など,無謀な計画は枚挙にいとまがありませんが(名古屋城木造復元計画の入場者予測なんて10分の1以下の実績になると思う),今回のレゴランドのような出鱈目な目標数は,後で自分の首を絞めるだけなのでやめておいた方が良いと思います.どこかのコンサルにでも騙されたんじゃないかと心配になりますが(もしくはデンマークの本社からの一方的な上意下達か),少し想像力を働かせればわかるわけで,机上の空論を現場で検証することなく,導入するのは危険だという典型的な事例であり,皆さまも他人事と思わず,貴重な学びの機会を得たと活かしていきたいものです.※客の増減に関わらず人件費も固定費として発生するわけで,本当に学べることは多いです.

 

 

●レゴランドホテルは開業中止もありえる

 

レゴランド撤退

↑マレーシアのレゴランドホテル.名駅近辺でホテル単独で進出すれば稼げるビジネスだっただろう

 

 

冗談みたいな話ですが,現在レゴランドホテルが建設中です.レゴランドへのアクセスがセールスポイントのホテルに需要があるとはとても思えず,こちらも頓挫するのではないかと危惧しています.インバウンド客の増に伴い,例にもれず名古屋駅周辺の宿泊施設が慢性的に不足している状態ですが,金城ふ頭にホテルを建ててどうそろばんをはじいているのでしょうか? 2017年4月現在において,立地さえ間違わなければホテルはほぼ100%成功する手堅い事業であるにも関わらず,下手したら開業しないのではないかと考えます.ディズニーのパートナーホテルを真似たのか,稚拙なプロジェクトですね.

 

以上,残念なことにレゴランド名古屋の改善は実に難しく,第二のシーガイアに向けて一直線な感があります.それでも,救いは事業規模が300億円少々と,大した投資をしていないので,レゴの損害や出資者の損害も,それほど大きな傷にはならないだろうと言うことでしょうか.リーマンショック後の名古屋は悲惨を通り越して地獄の一歩手前だったのを皆忘れているのでしょう.名駅を中心とした開発はこれからも進み,ビジネスの可能性は大いにありますので,事業を成功に導きたい方は是非弊社までコンサルの依頼をいただければ幸いです.レゴランド名古屋の奇跡の復活を応援しています!

 

 

●レゴランド続報(メイカーズピアの飲食店が開店2ヶ月で撤退)

 

●レゴランド名古屋 夜間営業に向けて調整へ!(営業時間延伸)

 

レゴランド・ジャパンの社長が夜間営業を実施する意向を示したとの報道がございました.夜間営業を実施する前に打つべき改善策は山ほどあるように感じますが,優秀な人材が不足しているのでしょうか? 実際には夏休み期間(7月中旬~8月末)の週末の営業時間が19時まで伸びるという,微々たる変更でありまして,厳しい運営が続くレゴランドの今後を引き続き注目していきたいと思います.

 

 

●レゴランド名古屋 敷地面積を拡張してホテルと水族館の建設へ

 

レゴランド名古屋がパーク拡張の意向を示していることが報道から明らかになりました.敷地を1.4倍に拡張して新たなアトラクションを建設するとのことです.現在のコンテンツでは集客が望めないとの判断でしょう.現状維持,縮小,投資の3つの事業の選択肢の中でレゴランドホテルとレゴランド水族館も併せて建設中であり,投資&成長をチョイスする果敢な戦略に敬意を表したいと思います(銀行が融資をするのかファンドや社債から資金調達するのか気になります).一点,名古屋市の土地を借りるとのことですので,極端な割引価格ではなく,適正価格で貸借が実施されるよう名古屋市民および議会関係の方々には注視いただきたいと思います.

「レゴランド・ジャパン」の運営会社は2日までに、敷地を現在の1.4倍の約13ヘクタールに拡張する方針を明らかにした。アトラクションを増やして集客力を高めるのが狙い。パークに隣接する名古屋市の土地を借りる方向で調整する。敷地拡張計画とは別に、パークの近くにホテルと水族館「シーライフ」も建設中で、いずれも2018年に稼働させる予定だ。

 

●レゴランド名古屋の感想(レビュー)とお得なチケット(8/16追記)

 

知人が盆休み中にレゴランドに行ったとのことで,感想を伺いました.

 

・夏休み期間中は子ども料金13,300円にて3名入場可能

サマーキャンペーンで年間パスポート1枚あたり,同伴者2名まで無料で入場可能となるのは案内の通りですが,この年パスは子どものチケットでも大丈夫とのことです.この発想はなかったので感心しました.親子3人で13,300円でレゴランドを満喫出来るのはリーズナブルであると言えるのではないでしょうか.

 

・キャンペーンによりエントランスが混雑(入場まで30分かかる)

年間パスポートはレゴランドのWEBサイトやセブンイレブンでも事前購入できますが,そのチケットの受け取りは現地エントランス横のチケットブースで実施する必要があり,入場までに30分以上かかったとのことです.最寄駅や駐車場から歩く時間も考えると,到着してから入場まで1時間程度考えておいた方が良いかもしれません.

 

・レゴランドの夏休みは混雑.人気アトラクションは30分程度待ちもある

お盆期間中ということもあり,パーク内はそれなりの混雑であり,人気アトラクションは30分以上の待ち時間も発生している模様です.ファストパスである「スキップパス3」の利用者が優先されるため,思いのほか待ち時間が長くなるのでしょう.ショー&アトラクションも魅力的で,楽しく過ごせたそうです.

 

レゴランドの感想としては,以下のリンク先サイトに丁寧かつ正直なレビューが綴られており,ご覧になっていただくと良いでしょう.

 

→“夏休みのレゴランド行ってきました!”(トリップアドバイザー)

 

 

・レゴランド名古屋がキャンペーン乱発

 

1dayパス購入者に次回入場の無料券を付与すると発表しました(対象期間は8月19日~9月11日まで).キャンペーンは目的と効果を明確にして通常実施しますが,次回入場を無料にすることで何が達成できるのでしょう.次回入場の割引券を提供するのであれば,リピーター獲得と割引チケット売上増が期待できます.しかし,無料チケットを配布しても業績へのプラス効果はほとんどありません.恐らく,年間入場者数200万人という目標を達成するために考えたのでしょうが,本末転倒と言わざるを得ません.レゴランドは現在進行形で経営の迷走を学べる貴重なケーススタディですので,他の経営者のみなさまも注意深くウォッチすることをおすすめします.

 

(2018年5月10日)レゴランドが理解に苦しむ割引チケットの販売を発表したので追記です.「ホームタウン1DAYパスポート」として,東海地方在住の方がよりお得に楽しめるキャンペーンを実施しています.大人4,500円,子ども3,300円とのこと.こんなチケットを発行してレゴランドは大丈夫なのかな?と心配になるほどの酷い施策です.入場時に居住地確認の書類が必要というのはオペレーションとしてありえませんし,現地ではそんな面倒な確認作業は実施しないとしても,そんな仕組みを検証せずにリリースしてしまうことなど,レゴランドはやってはいけないことを乱発しており大変に興味深いです.

 

 

●レゴランドがハロウィン夜間イベントを開催

 

 

10月13日に「ハロウィンナイト」として,18時30分から20時30分まで営業するそうです(予約要).対象は年間パスを保有する方とのことで,年間パスポート購入者にメリットのある素晴らしい取り組みだと思います.一方で,この一日限りの夜間営業施策が売上拡大に結びつくかと言えば難しく(ハロウィンナイト イベント当日のキャッシュインはほとんど見込めない,人件費が余計にかかる),定期開催して今後の年パス購入のインセンティブにするなどの工夫が必要でしょう.レゴランドの来場者数100万人突破の報道もありましたが,パークへの入退場を自由にするなど,抜本的な取り組みを実施しないと冬のテーマパーク運営は厳しいと予想されます.

 

 

●レゴランドのビジネス分析(追記)

 

→なぜ、マネタイズが重要なのか?

 

レゴランドのダメ出しについて,川上昌直兵庫県立大学経営学部教授が記事にされていたので紹介します.弊社が指摘しているポイントをシンプルに問いかけていらっしゃいます(以下引用).

◎レゴランドが考える顧客は、本当にその料金に満足するのか?

◎その体験は、わざわざ名古屋の郊外に足を向けさせるほどのものなのか?

◎東京や大阪にあるテーマパークとの違いを感じられるのか?

◎顧客が入園してから遊ぶまでに旅費・宿泊費や食事代などのトータルコストの見積もりは、適正だったのか?

繰り返しになりますが,コンセプトやハードウェアなど,初期段階での失敗は取り返しのつかない事態になり,ソフトウェアや運用では対処し難いことを改めて申し上げたい.企画段階からのコンサルティング依頼をお待ちしています.

 

 

●レゴホテルが2018年4月28日オープン! 宿泊料金は約3万円~(最大4名)

 

集客に問題を抱えている施設に果たして宿泊客が来るのか? レゴランドは平日に定休日を設定しているけれども,定休日の稼働率は大丈夫なのか? という疑問はつきませんが,当初より計画が立てられ,工事が進んでいた「レゴランドホテル」が2017年4月末にオープンするとの報道がありました.新聞記事のコンテンツはURLが消えたり変更になったりする仕様のため,プレスリリースを自社HPに掲載することをオススメしたいと思います.

 

宿泊料金は4名宿泊で約3万円からとのこと.少々強気の価格設定のように感じられますが,いまもっともバブっているのがホテル業界であり,インバウンド需要も取り込み史上最高の好景気&高宿泊価格を維持しているため,参考価格としてのこの宿泊料は妥当であると考えます(最近のホテル価格は懐に厳しいです).

 

しかし,立地とアクセスの観点から,レゴホテルに訪問する遠方の観光客以外にレゴホテルに泊まりたいという需要は考えられず,しかも前泊需要しかなさそうです(レゴランドで遊んだ後は食事なども含め,名古屋市内中心部に宿泊した方が選択肢が増える).ディズニーやUSJは連泊需要も取り込めますが,レゴランドに連泊はまず考えられず,ビジネス(出張)需要もありません.

 

とすると,金曜日&土曜日&祝前日以外の稼働率は50%どころか,30%を切る事態も発生しかねず,レゴホテルの宿泊稼働については,業界のみなさまも注目されているのではないでしょうか.隣のメイカーズピアも集客状況は惨憺たるもので,年度内に撤退する店舗が追加されそうな雰囲気ですが,今後もレゴランドの動向を注意深く見守っていきたいと思います.

 

 

●メイカーズピアも業績不振で撤退店舗続出の件(2018年5月10日追記)

 

 

名古屋市港区のテーマパーク「レゴランド・ジャパン」に隣接する商業施設「メイカーズピア」で,開業から1年余りでテナント12店が撤退したとの報道がありました.運営会社のコメントは「レゴランドの集客が思ったほどではなく、苦しい立ち上がりになった。レゴランドに頼らずリピーターを増やさなければいけない」とのこと.運営会社の適当なコメントに驚きます.

 

レゴランド自体の集客力がなく,年間パスポート以外は入退場ができないチケットで,メイカーズピアでの飲食需要が旺盛になるはずもなく,出店テナントは厳しいのは当たり前です.加えて,運営会社が集客の具体的な努力を語るでもなく,レゴランドに途中入退場を迫って変えさせるでもない状況では,今後も厳しい運営が見込まれそうです.運営側の楽観的な予測を見せられて安易に出店するリスクは他山の石とせず学びたいものです.