★「ランドロイド」についての考察 セブンドリーマーズ全自動洗濯物たたみ機★

 

◆セブンドリーマーズの全自動洗濯物たたみ機「laundroid(ランドロイド)」| ランドロイドはAI技術? | 宅配洗濯代行サービスに対して洗濯物畳み機の競争価値とパフォーマンス | ベンチャー&AIへの投資(出資)バブル現状の考察◆

 

laundroid , ランドロイド

※画像:seven dreamers

 

2017年6月上旬,セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社が洗濯物を自動で折り畳み,整理するロボット「ランドロイド」の販売予約の受け付けを始めたとの報道発表があった.全自動洗濯物畳機として以前より話題であった本商品のプレスリリースということで,多くのテレビ局や新聞社が取り上げた次第である.価格は200万円程度(最低価格185万円から)とのこと.本ニュースを目にして,マスコミ(マスメディア)の太鼓持ちと,投資業界のバブルがここに極まれりと強く感じたので,この全自動洗濯物たたみ機「laundroid(ランドロイド)」への疑問と,どれだけ投資資金がバブっている(じゃぶじゃぶで溢れているのか)を考察してみたい.

 

 

①全自動洗濯物たたみ機「ランドロイド」とは?

 

テレビや新聞で驚くほどにヨイショされ持ち上げられているので,少しでも情報感度の高い方であれば話題のあの商品ね!とイメージはつくと思うが,簡単に商品の概要を紹介しておく.※以下「LAUNDROID(ランドロイド)」商品紹介ページより引用.

 

ランドロイドのAI
洗濯が自動になり,乾燥が自動になり,食器洗いが自動になり,掃除まで自動になった現代. 次に解放する家事は,衣類の整理です. 洗濯物を入れるだけで,ロボットアームが綺麗にたたむ. 人工知能が衣類の特徴を覚え,家族ごとの棚に分別. データや画像はアプリで管理.コーディネートも提案する. 家事の時間とプレッシャーから,あなたの大切な人を解放し, 人と衣類の新しい関係を生み出す.それが / laundroidです.

 

「laundroid(ランドロイド)」の商品紹介にはこのようにある.つまり,洗濯物を自動で畳んでくれるだけの機械だ.洗濯機のような洗浄機能もなければ,乾燥機のような乾燥機能もない.洗濯乾燥を終えた衣類を畳んでくれる製品である.

 

 

②全自動洗濯物たたみ機「ランドロイド」について(価格妥当性 等)

 

ランドロイドとは

 

先にお断りしておくが,「laundroid(ランドロイド)」という商品を否定しているわけではない.初めて耳にした時は面白いアイデア商品であると感じたし,ユニークなテクノロジーで製品を開発していく姿勢を尊敬している.だがしかし,この商品の価格を目にした時に,昨今のバブルの様相を表す実にわかりやすい事例であり,この企業(製品)に出資や支援をしている方々は,製品価値なんて微塵も考えていないのだろうということが伝わってきて,首をかしげざるをえなかったのである.果たして話題性だけで,リターン(利回り)が得られるのか実に興味深い.

 

  • 全自動洗濯物たたみ機ランドロイの価格は?

 

先ず疑問に感じるのは,製品の価格が正式に掲載されていないのである.もしくは,消費者に伝えようという姿勢が見られない.価格は185万円や200万円前後との情報が第3者,つまりは報道機関や情報サイトから発信されているだけである.現在は,限定予約を開始した段階であり,通常の受注は9月下旬〜10月初旬を目途に始まる予定であるとのフェーズなので,話題をつくるためのマーケティングの一環として,このような手法を取っているのかもしれない.今後参考価格もホームページで表示されるだろう.それでも,カスタマーに商品仕様と価格を明示することなく,商品リリースをすることは不親切であり,疑問を感じずにはいられない.(参考:世界初「衣類折り畳み機」を生んだ社長の頭の中(日経ビジネス)

 

ランドロイドの機能

衣類を畳んで整理します!200万円です!

  • ランドロイドの200万円の価値(高すぎる製品価格への疑問)

大企業でさえ炎上マーケティングを手法の一つとして取る昨今において,先ほど指摘した情報の不透明性は戦略の一つであり,現にこれだけの話題をさらっているではないか? と言われればぐぅの音も出ない.資本主義社会(私も厚く信仰している)においては売上と利益が正義であるし,これだけ報道で取り扱って貰えるのは実にうらやましい限りである.それでも「ランドロイド」の200万円という価格は,高すぎるとか割高とかそういった範疇にはない金額であり,富裕層はそこまで金が余っているのかと驚いた次第である.

 

・ランドロイドは洗濯&乾燥の機能を持っていない.

・洗濯が終わり,乾燥が終わった衣類を畳んで整理してくれるだけの製品である.

 →時間にして10分~20分程度を節約する製品.

 

毎日10分を洗濯物を「畳む」作業に充てると想定してみよう.1週間で70分,1ヶ月で300分である.つまり「ランドロイド」は月に5時間の稼働を削減してくれる製品であると言えるだろう.製品寿命を5年として試算してみる.

 

「5時間×12ヶ月×5年間=300時間」→ 時給6,000円のパフォーマンス製品

 

「ランドロイド」の一番安い仕様の製品を180万円として計算すると,180万円÷300時間となり,6,000円/時間のパフォーマンスを発揮する商品となる.なるほど,時給6,000円で洗濯物を畳んでくれる機械であると考えれば富裕層には響くのかもしれない.壊れることなく製品が5年間フル稼働する想定ではあるが.

 

 

③宅配洗濯代行という家事の魅力的なサービスがある

 

この時給6,000円のパフォーマンスと考えた際に,どうしても疑問を投げかけずにはいられないのだ.何故ならば,すでに「宅配洗濯代行」という魅力的なサービスが存在しているからである.こちらは約3,000円で洗濯物の集荷から「洗濯&乾燥&畳み」というすべてのサービスを実現してくれるサービスである.

 

例えば以下のサービスがある(アフィリエイトリンクはついていないのでご安心を).

→洗濯代行&コインランドリーのWASH&FOLD

→ネットでカンタン注文宅配クリーニング

 

衣類を畳むだけであれば1日10分の作業であるが,最新の洗濯乾燥機を活用しても,洗濯&乾燥は併せて120分以上かかるので,時給1,500円で大変にパフォーマンスの高いサービスであると言えるだろう.「ランドロイド」の電気代は計算に入れなかったが,この「宅配洗濯代行」は乾燥機というそれなりに電力を消費する過程を省くこともできる.パフォーマンスだけで考えればランドロイドが勝る要素は一つもないと言えるのではないか?

 

 

④「ランドロイド」はAI技術が強みなのか?

 

ランドロイドのAI技術

5時間で衣類を畳む機能をこれだけ上手にPR出来るのは凄い

 

ランドロイドをディスる内容のようになってしまったが,決してそんなつもりはない.面白くて魅力的な商品であるし,コストパフォーマンスなんてものを気にしなくて良い富裕層の方々は,貧乏人がひがんでいるわ!と鼻で笑っていただいて,購入してよろしければ是非見せていただきたいぐらいである.製品を目の前にして,時短のために200万円の電化製品をポンと購入できる余裕に恐らく,嫉妬と最大限の賛辞を贈るだろう.

 

ではいったい何が疑問に感じるのか(いちゃもんをつけてる)のかと言えば,「laundroid(ランドロイド)」がAI技術の活用とか,最新のAIの学習能力などと紹介されているのが,消費者を馬鹿にしているのではないかと思うのである.将棋や囲碁のトッププロに勝つAIとは違い,気の利いた小学生なら実施できる洗濯物を畳む行為(衣類のパターン認識)が最新のAI技術であるとPRされることに,AI価値のバーゲンセールやな!と突っ込まずにはいられないのである. 

 

AIについて専門にしているわけではないし,ここでAIの対象について議論するつもりはないが,テレビや新聞やメディアが,「laundroid(ランドロイド)」がAI製品であると,全面的にヨイショする提灯記事を発信することにそこはかとない気持ち悪さを覚えるのである.製造元である「セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ」がPRするのは全然かまわない(日産のセレナだって,現時点であれを自動運転技術「プロパイロット」としてアピールするのはいかがなものか?というのは,自動車関係者や少しでも技術に造詣がある方なら思っていることだろう).

 

だから,製造元や販売元が誇張してPRするのは害がない限りは問題ないと考える.がしかし,メディアの役割は事実を報道することと,分析や考察にこそあるのではないだろうか?と言いたいのである.フェイクニュースがばら撒かれる昨今,事実に反する情報を報道しないだけで評価に値するのかもしれないが,右から左で情報を流すことだけなら,無知な素人にだって出来るし,そこには情報の付加価値の欠片もない.

 

 

●セブンドリーマーズへの出資はカネ余りとAI&ベンチャーバブルでは?

 

セブンドリーマーズは、KKRやパナソニック,大和ハウス工業等の会社から100億円超を調達している.100億円の投資資金.弱小ベンチャーにとっては眩しくてくらくらするほどの金額である.売上高や利益を計算して分析するつもりはない.売上がなかろうが利益が小さかろうが,成長性や魅力を発信して投資家を説得できれば,いくらでも企業価値は大きくなる.それが市場の面白い点であり,実際にセブンドリーマーズのWEBサイトの作りやプロモーションビデオのクオリティなど唸るほどに綺麗である(中身についてはノーコメント).

 

それでも,全自動洗濯畳み機200万円の製品に,パナソニックや大和ハウス工業等の大企業が数十億円単位の出資をしているのはまさにバブルと言えるのではないだろうか? KKRはプロフェッショナルの投資ファンドであり,損をしないような契約(ファンド組成)を実施しているはずだから,セブンドリーマーズの2030年の売上目標3,500億円という成長ビジョン(夢)が崩れた時に,誰が損を被るのかと考えると実に興味深い(米医療ベンチャーのセラノスがユニコーンの価値を持って破たんした事例を語るまでもないだろう).

 

長々と記したが,弊社をはじめ多くのベンチャーが資金繰りに苦労している.セブンドリーマーズはまさに眩しくて羨ましい成功事例であるから,嫉妬するような文章になってしまったかもしれない.それでも,資金が足りないのもアピールできないのも君の努力と能力不足だろ? と言われて破たんした事例を多く見てきて他人事ではない立場から,投資家や投資に積極的な企業の皆さまに,幅広く積極的な投資をお願い申し上げ結びの言葉としたい.最後まで読んでいただきありがとうございました.