★「中途採用面接」無能な採用担当者が残念な質問を浴びせる日本企業の不毛な採用現場「転職活動」★

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「日本企業の採用面接の問題点」「これからの転職活動の話をしよう」「転職採用面接の現場レポート」「企業が優秀な人材を獲得するための戦略の考察」

 

 

弊社の事業をパートタイムで手伝ってくれている友人が,他社で掛け持っていたプロジェクトの一つがクローズしたため,新たな仕事を求めて最近いくつかの採用面接を受けてきた.その面接内容があまりにも酷かったのでレポートすることとしたい.

 

 

「有名企業,大企業,ベンチャー企業,そのすべての採用担当者の面接能力が低い」

 

 

なお本分析は,サンプル数10社と少ないデータに基づく考察であることを先に述べておく.採用面接はすべて録音しており,その録音データを聞きながら,この質問はどう思う? この面接官は何を意図しているのか理解できる? と丁寧に状況をトレースしながらディスカッションをした結果であり,転職希望者の一方的な文句ではなく,公平な意見となるよう取りまとめたつもりである.ただし,主観を大いに含む.

 

 

新卒採用については,以前(★エントリーシートでつまらない質問項目を課す残念な日本の新卒採用★)でも質問のレベルの低さと内容の薄さを指摘したが,転職採用についても同様に無能な面接官による阿呆みたいな面接が横行しており,改めて定性的でアバウトな採用選考をしている多くの企業に苦言を呈することとしたい.※今日はここまでどのように来ましたか?と問う面接があると,就活本がネタで笑いを集めているが,往々に実施されているのが日本の採用現場である.

 

 

先に結論を述べよう.人手不足が叫ばれて,各企業が転職採用を活発化させているけれども,経営幹部の皆さまに伝えたいことは次のポイントである.

 

 

「無能な面接官を採用の現場に配置するな!→ 出来の悪い採用担当を表に出すと企業のブランドを毀損する」

 

 

贔屓目に見ても無能な面接官が少なくない.これは能力のある社員がそもそも定着していない業績の悪い会社や,ブラック企業に限った話ではなく,好業績な企業や大企業であっても,どうしてこんな人材が採用担当を実施しているのだろう? というケースが実に多い.

 

 

企業は採用に相当なカネを投資して,人材仲介企業や転職支援サービスを活用している.にもかかわらず,集客した転職希望者を面接する現場がまるで機能していないどころか,企業ブランドを毀損しているケースが多々見られる.経営陣はチェック体制を再考すべきだろう.日本企業の生産性が低いのは,採用と広告については費用対効果の検証はほとんどせず,仲介企業にジャブジャブ金を流すのに対して,開発や製造,設備投資の現場で経費を絞っていることにあり,理解に苦しむ.

 

 

少し振り返っていただければわかるのだが,自社が取引をする際には,対象サービスや商品が魅力的なものであるから,もしくは優秀なセールスマンや技術者がいるから,それを購入したり利用したりするのであろう.基本的にどちらかだ.それに対し,採用面接というのは完全に人対人であり,採用の現場に馬鹿な面接官がいるというのは取引相手である志望者に対して,失礼な対応を取っている以外の何物でもない.

 

 

私は前職で採用に関わる仕事を5年くらい経験させていただいたのだが,そこで学んだことの一つに,仕事が出来ることと,採用で有能な人材を発掘したり見抜くことにスキルの相間はほとんどないということである.例えば,ゴリ押しが得意な根性営業で実績を残しているセールスマンが,採用の現場でまったく人の話を聞かないことは往々にしてある.

 

 

要は,優秀だからと採用を現場の裁量に任せてしまうと,その社員が採用に関して無能であった場合に,会社に損失をもたらす人間となってしまうということだ.加えて,コミュニケーションスキルなどという不確かで評価が難しい能力を,面接という名のおしゃべりで判別することの不毛さは改めて指摘しておきたい.ケーススタディを実施するか,ワークさせなければ,スキルや働きぶりは品定めできない.

 

 

さて,この適材適所という最低限の戦略を前提として,提言したいことが次の2つである.

 

 

①採用面接は経営幹部もしくはマネージャークラスが実施すべき.

 

 

採用面接に現場の平社員がアサインされていることが多々あるのだが,採用の重要性を考えれば,ある程度の権限がある人間を配置すべきだろう.年齢(若い若くない)は関係がなく,経営幹部や少なくとも部長や課長など,部下を持つ立場の者が,チームメンバーを採用する目的で面接対応するべきであると考える.社長や経営幹部であれば全社的な視点で選考を実施するであるし,現場のマネージャーであれば自分のチームの部下を選ぶのであるから,お前が選んだ部下だろう!と責任逃れができなくなる.

 

 

ほとんど権限もなく,たまたま人事部に異動になって所属しているだけの平社員や,現場で少しセールスの成績が良い人材に,採用面接よろしく!と担当させるのは,あまりにも会社として無責任ではないか?ということである.

 

 

②面接は記録してクロスチェックせよ!正確な採用面接記録は価値があるデータとなる.

 

 

次に, 採用面接に無能社員を配置している企業の特徴として,面接内容を記録してチェックしていないことがある.メモを残す残さないの問題ではなくて,正確な記録を取っていないということだ.質問内容と回答を正確に記録している企業がほとんどない.大抵はYES/NOの回答結果をメモしているだけであり,そもそも相当なタイピングスキルがなければ,会話は文字で記録できない.問題意識もなく,論点整理ができない残念な社員にどうして要点をまとめられる?

 

 

リソースと稼働の関係から,経営幹部を採用現場に配置することが難しいということもあるだろう.そうであるならば,面接の内容は録画する,もしくは録音して複数チェック体制を確立すべきである.

 

 

これには2つのメリットがある.一つは「採用担当者(面接官)が適切に職務を遂行できているかの評価に使えること」がある.面接官が自分の自慢話ばかりをしていたり,ハラスメントの質問を実施していないか,面接相手(転職志望者)の適性やスキルを測る質問を適切に実施できているかどうかの確認ができる.

 

 

もう一つは「志望者が求める人材であるかどうかの判断を複数の視点で客観的に実施できる」ということである.人は誰しもが好き嫌いがあり,合う合わないの基準がある.当日相対した面接官との相性というものもあるだろう.転職希望者X君は,評価者Aにとっては採用に値しない人材であるかもしれないが,評価者Bにとっては是非とも採用したい人材であるかもしれない.だから複数チェックの視点が欠かせない.

 

 

採用は定量的な評価基準で粛々と進められるような合理的な面接であることが望ましいと考えており,その意味で最近流行りのAI面接官を評価する.面接をAIに実施させて,その様子を多数の評価者が見るというのが望ましいと考えるが,(大抵の)日本企業は,採用に定量的な基準を持たない曖昧で定性的な評価が大好きなため,採用現場の暴走や無能を排除するためにも,記録と複数チェックを実施すべきだろう.

 

 

優秀な人材を獲得するためのマクロの採用戦略としてはこれまで述べたことを実施いただくとして,現場レベルのミクロの採用戦略として改善すべきことを次に述べる.

 

 

「履歴書に書いてあることを繰り返し聞くな!定量的に確認すべきことは事前に実施せよ!」→履歴書に書いてあることを問う必要性はない.必要な情報は面接前に確認すべき.

 

 

面接の録音テープを聞きながら違和感を覚えたことは,事前に確認すべき事実関係の事項を繰り返し面接官が聞いていることである.例えば,日本最大のポータルサイトであるY社がスマホ決済セールス志望の採用面接で実施したいた内容が実に酷かった.

 

  • 運転免許は持っているとのことですが日頃から運転をしていますか?
  • 営業車に乗って提案セールスを実施していただきますが、運転に自信はありますか?

 

などと,事前にチェックリストで問えば良いことを面接の時間を使って丁寧に確認をしているのだ.要はY社がスマホ決済の利用店舗の拡大を図るために,絨毯爆撃のように片っ端から店舗まわりを実施できる人材を契約社員で募集して採用し,ローラー作戦で営業攻勢をかけるつもりであるらしいのだ.セールスの経験や交渉力,電子決済に関する知識や経験をほとんど問うことなく,自動車の運転が得意かどうかを熱心に質問していた.

 

 

Y社は圧倒的な知名度とサービスを持つ非常に素晴らしい企業であるし,経営陣の優秀さは日本でもトップクラスであろうが,少なくとも採用担当の現場では非常に残念なことをしている.

 

 

私はもっとも醜い営業の一つが,ウォーターサーバーの営業であると考えているのだけれども,Y社もアポなし訪問営業を片っ端から実施する戦略であるらしい.電子決済で先行するリクルートのAirペイや,コンシューマーへの知名度が抜群のLINEPAYなど,大きくて強いライバルがひしめく電子決済市場において,ただでさえ後発のY社が利用店舗の開拓に繋げるのは困難が予想される中,大量のセールスドライバー件営業担当を契約社員で雇って対応するつもりらしい.

 

 

勘違いしていただきたくないのは,サービスの魅力と販促ツール,インセンティブ設計が的確に設計されたサービスであれば,現場のセールスマンに能力などは必要なく,馬鹿の一つ覚えのようにアポなし訪問すれば良い.唯一無二の素晴らしいサービスであり,このサービスを導入すれば,御社に利益があります!と簡単に理解いただけるからだ.

 

 

だが,スマホ決済サービスでそんなことはありえない.スマホ決済普及について温めているネタがあるため,別途書き起こすこととするが,アポなし営業で大きな成果が上げるのは難しく,何よりも,店舗側からすれば,飛び込み営業セールスマンに対応する鬱陶しさは尋常ではない.9月頃から本格稼働するようであるが,世間にスマホ決済営業の苦情が溢れかえることだろう.ITリテラシーが低い店舗に,ITリテラシーのない営業が突っ込む,悲劇的なほどに非生産的な現場が日本中に溢れかえることだろう.

 

 

事例をもう一つ挙げよう.インバウンドセールスを募集していたR社の採用面接も実に酷い内容であった.選考内容は「担当者より留学サービスの説明→グループディスカッション→ディスカッション結果」との流れである.議題は「面接会場にある目の前の椅子を100万円で売る戦略を考えてください」というものであった.

 

 

グループディスカッションは選考方法として優れていると考えるが,この留学サービスを手掛けるR社は面接に正社員応募者と契約社員応募者とアルバイト応募者を一緒に混ぜて選考したのである.これは選考後に参加者と話してわかったことであるが,こんな雑な選考は聞いたこともない.

 

 

選考内容に戻ろう.目の前の実売価格3000円程度の量産品の椅子を100万円で売るという突拍子のないお題目も発想力やマーケティングの知識、セールス力を測るには面白い題目になりえる.ただし,インバウンドセールスに求められることは、3000円程度の椅子を100万円で売るアイディアであろうか? 騙して売るか誇張して売る以外には難しいだろう.※得意な分野ではあり,グレーなアイデアばかりが浮かんだ.

 

 

サロンに来た潜在顧客に,留学サービスをどのようにセールスしたら効果的か?であったり,マーケティングのアイディア等を議論させた方が生産的ではないだろうか? 少なくとも,採用担当者から疑問や説明などを求められればそれに対する答えを評価するなど,選考の意図も理解できるが自由に発言させるだけで,検討結果を発表して選考会は終わりであり個別の面接もなく選考は終わり.

 

 

選考がフロー化されていないのか,現場の担当者に任せているのかはわからないが,面接力に大いに疑問のある人材が採用現場に立つことで,選考の不納得感は企業のブランドとサービスにもマイナスの影響を与えかねない.そもそも,売ること,売る仕組みを考えること,売れる人材を選別すること,売れる人材に育て上げることは,それぞれ別の機能であるさえ理解できていないのだろう.

 

 

③「スクリーニングを活用すべき」採用するつもりもない人間を面接に呼ぶのは双方の時間の無駄だから止めよ!「募集要項に条件を詳しく記すべき」

 

 

ある程度の応募者数を集められる企業でやりがちであるのが,片っ端から面接を実施することである.エントリー段階でのハードルを下げて,出来るだけ多くの人を面接で選ぼうとする.これは実に効率が悪い.応募条件を厳すべきと主張しているのではなく,採用側の企業と求職者側の条件やニーズがマッチングしてなければ,採用には至らない,もしくはジョブオファーを受諾しないのであるから,面接前にスクリーニングを惜しむべきではない.

 

 

転職希望者側も雇用条件が不透明な状況でエントリーして,詳細を面接で確かめねばならないのは時間の無駄であるし,採用側も面接稼働をかければ良いというものでもないだろう.50点の応募者100人を100時間稼働かけて10人選ぶ非生産的なことをするのではなく,80点の応募者30人を30時間稼働で選別する方がずっと合理的だ.そしてその選別はフォームで試験&アンケート形式で実施すれば良い.

 

 

Googleフォームを活用すれば集計まで簡単にできる.日本企業の理解に苦しむ点は,IT企業やそれなりに情報化が進んでいる企業においても,採用や面接に関してはほとんどITが活用されていない.ITが働き方を変えるのではなく,働き方を変える中でITが役立つという道具は使いようであるという点を理解せずに,目的と手段をはき違えている企業が目立つ.

 

 

テレビ会議やWEB面接を活用すれば,先に述べた複数チェックも容易になるし,記録も簡単にできる.これだけテクノロジーが進化して,先端技術サービスを提供しているのに,自社面接においてはアナログでゼロイチの質問や,定量評価できないような質問を実施するのは,時間をドブに捨てたいのだろうか? お互いの疑問は事前に解いておくことがWinWinの結果につながる.

 

 

新卒採用も含めて,応募が15年くらい前にIT化されてWEBエントリーが導入された以降,基本的に日本の採用現場はまるで進歩していない.人材紹介企業に無駄金を払って効率化も合理化もできていない.「1:1」「1:N」「N:N」この多対多の関係を採用に持ち込むことで人手不足も採用のミスマッチも回避でき,かつ付加価値があるとはとても思えない人材仲介企業を淘汰できる.新たなビジネスの話にネタが逸れてしまったが,まず企業側は採用初期段階のスクリーニングからはじめていただきたい.

 

 

酷い面接を経験したり,選考結果になっとくがいかないと,時間を無駄にしたような負の感情に支配されることが多々あるけれども,無理・無茶・無駄を発見できる貴重な経験を得られたと,Y社,R社を筆頭に謝辞を申し上げたい.以上.