★コンビニのビジネスモデル考察 セブンイレブンのネットコンビニは愚策 民泊チェックインは魅力的★

コンビニのビジネスモデル

 

「セブンイレブンのネットコンビニはデリバリーのラストワンマイルに進出する愚策」

「コンビニは集客装置.店舗の魅力とサービスを最大化すべき」

「手数料と仲介料を稼ぐビジネスこそコンビニビジネスの可能性」

「コンビニの民泊チェックインは機能面と利便性の観点から魅力的」

 

 

セブンイレブンが店舗商品をネットで受け付けてデリバリーするという新たなサービスを発表しました.

 

→商品をスマホで注文 セブン「ネットコンビニ」展開

 

セブンイレブンさん,そいつは愚策では? と考えたので私論を展開することといたします.まず,ネットコンビニは正式なプレスリリースが出ていないので,構想を先走って発表してしまった疑いがあります.サービススタートしないのではないでしょうか.もちろん,消費者としては,安価で利便性の高いネットコンビニサービスはありがたく,提供していただきたいと考えますが,こんなサービスが成り立つとはとても思えません.だって儲けを出せる構造になっていないもの.

 

セブンのネットコンビニに駄目出ししてもあまりバリューがある報告になるとは思えませんので,本件を議題として「コンビニエンスストアのビジネスモデル」及び「セブンイレブンの経営戦略」を考察することとします.なお,細かい分析は計算に向く人間に任せるのが最適(適材適所)であると考えていますので,ざっくりとした動向の考察になることを先にお断りしておきます.

 

 

セブンイレブンの強みは何でしょう? 簡単に整理してみます.

 

  • セブンイレブンに限らずコンビニは「ビジネスモデル(フランチャイズ契約)」が最高の強み(全体事象).

  • コンビニ各社の中で,セブンイレブンの圧倒的な強みは「立地」(個別事象).

 

単純化するとこれだけのことだと考えています.「セブンイレブン 優位性」で検索してみると,取材記事や分析記事が多数発表されていますが,どれもこれもミクロの部分しか見ていない薄っぺらな情報が多くないですか?(失礼).

 

上位に検索結果表示されるコンテンツが言及しているのは「ドミナント戦略」「品揃え」「商品力(プライベートブランド)」「顧客主義(ニーズファースト)「マネジメント(アルバイト管理)」などのキーワードばかりです.挙句の果てに仮説検証力とか出てきます.

 

ググってもカスみたいな情報しか出てこないのは,弊社が以前より指摘していることですが,それもそのはずで,価値のある良質な情報は発信されていないかネットの海に埋もれてしまっているからです

 

なぜなら検索エンジンは広告ファーストであり,コンテンツファーストではないからですね.ゴミのような記事が量産されるのも,検索結果が酷いのも,今にはじまった話でもなく,コントロールできないことを嘆くのは時間の無駄なため,本論に戻りましょう.

 

 

  • 「コンビニビジネスは本部がフランチャイズオーナーを搾取する圧倒的な不平等契約が前提に成り立っている」

 

コンビニ事業のポイントは「強欲的とも言える利益搾取の本部とオーナー側とのフランチャイズ契約」です.綺麗ごとは子どもだけに語るとして,現実を直視しましょう.コンビニビジネスは上下関係がはっきりした不公平な契約で成り立っており,資本主義の最前線の縮図です.

 

コンビニ各社はどの企業も業績が良好です.スーパーマーケットを展開するGMS各社や,百貨店各社と比較してその利益率の高さは,コンビニオーナーにリスクを取らせて,利益のみコンビニ本部が回収できる強固なビジネスモデルで成り立っているからだと,学生時代にセブンのオーナーに教わりました.これはもう仕組みとして圧倒的に完成されたモデルです.

 

セブンイレブンに限らずコンビニオーナーは,元酒屋だの元八百屋だの,元々事業を営んでいた方のコンビニへの業態転換か,土地持ちの方の投資であることがほとんどです.彼らに選択権があるのは,どのコンビニエンスストアと契約するかの意思決定であり,契約内容を交渉することはできません.

 

コンビニ(本部)と定型の契約書を結ぶ.そこに契約内容に変動要素はほとんどない.だからフランチャイズオーナーが無知で無教養ではなく法律知識があったとしても,収益分配の比率が変えられるわけでもなく,端的に言えば装置ビジネスなんですね.

 

このコンビニ本部とフランチャイズ契約や,コンビニオーナーの闇を指摘すると長くなりますし,どうこうできることはないので省略しますが,,セブンイレブンが凄いのは,PBブランドの商品力! ドミナント戦略! とか個別に語るのは酒場で語られるウンチクと同じで,消化不良で二日酔いになりますのでお気を付けください.

 

※別に悪いと言っているわけでもなく,酒屋や八百屋をやるよりは儲かるので,歪ではあってもWin-Winの関係が成り立っています.

 

 

  • 「セブンイレブンの優位性は立地が圧倒的に良いから.コンビニは立地とアクセスがすべて」

 

ここ大事なポイントです.セブンイレブンが他社よりも平均日販で約10万円程高く,一人勝ちと言われる所以は,先行して良い立地にセブンイレブン店舗を出店することで展開してきたからです.立地が良いからセブンイレブンは強い.

 

もちろん「商品力」「サービス力」「ロジスティクス力」など細かい部分で他社よりも優れている点も多いですが,優良立地に位置しているからセブンにはたくさん客が来る.立地が良くて良い商品を提供できればビジネスは絶対に失敗しない.基礎の基礎です.語ると長くなるので要点がまとまった資料の紹介しておきます.

 

 

さて,前提条件の認識共有をしておかないと議論が噛み合わなくなる恐れがあるので,前置きが長くなりましたが,セブンイレブンの「ネットコンビニ」展開の件です.このネットコンビニというフレーズはいかがなものかと思いますが,新聞記事では以下の内容が報道されています.

 

 

 

・スマートフォンで注文を受けた店舗の商品を自宅に宅配するサービスを2019年に全国展開開始.
・注文すると2時間以内に自宅に配達される.
・自宅への到着時間は1時間ごとに指定できる.注文は24時間受け付け午前11時~20時までに配達する.
・配送料(利用料)は216円.3000円以上の商品を購入すると無料.
・北海道の15の店舗で2017年10月からスマホからの注文による宅配サービスを試験的に実施してきた.

 

 

 

  • 「ラストワンマイルのデリバリーはコスト過大で利益が出ない = コンビニ商品の格安配送ビジネスは成り立たない」

 

簡単に言えば,セブンイレブンがデリバリーに手を広げたわけですね.いやはや,理解に苦しみます.個別配送のロジスティクスに手を出して儲かるとはとても思えません.加えて,コンビニビジネスとの相乗効果(親和性)が低いため経営戦略としては微妙であると考えます.順に考えていきましょう.

 

第一に,ラストワンマイルはカネになりません.もっと簡単に言えば,自社デリバリーは儲からないのです(ただし都心(大都市中心区)に限定する場合を除く).だから,Amazonを筆頭にロジスティクスは,ヤマト運輸をはじめとする物流業者と徹底的に安く契約し,効率化してきたのです.世の中,物流をなめているというか理解が薄い方ばかりで驚きます.

 

物流を自ら乗り出して成功している事例はほとんどありません.セブンイレブンはスーパーマーケットの配送事業や,セブンミールなど,結構多くの情報が手持ちであるはずですが,経営者や幹部は数字が読めていないのでしょうか? もしくは,優秀な社員の意見に聞く耳を持たないか,フランチャイズのオーナーに負担を押し付けるつもりでしょうか?(おそらく全部).

 

酷い話ですね.物流,もといロジスティクスに深謀と確かな戦略があるのはアマゾンくらいで,どの日本企業も行き当たりばったりな戦略ばかりです.マーケティングやサプライチェーンの基礎教育で,ピザ屋が原価を2割程度で抑えて,初期費用の店舗費&装置費で,配送料のマネジメントが要だと学ぶわけじゃあないですか?

 

それを脱サラする個人に押し付けるのはコンビニと似たようなビジネスですが,商品の原価と販売額の単価がコンビニとピザ屋ではまったく違うでしょうに,セブンミールやイトーヨーカ堂のネットスーパーの苦戦が活かされていないような気がしてなりません.「Uber Eats」が都心に限定してサービスを提供し,役割分担をしているのかを分析して学ぶと有益であると思います.

 

 

  • 「コンビニは集客装置として,店舗の魅力とサービスを最大化すべきでは?」

 

第二に,デリバリーはコンビニビジネスとの親和性が悪いです.店舗の商品を配送します?相乗効果がまるでないですよね? これまでのコンビニ(セブンイレブン)の取り組みは素晴らしかったのに,どうしてこのようなサービスが出てくるのでしょう?

 

公共料金の支払いや,宅急便の受付,独自ATMの設置,チケットの販売,ネットプリントサービス(セブンイレブンが提供する富士ゼロックスの多機能デジタルフルカラー複合機は最高)など,コンビニの利便性を高め手数料を得るモデルは本当に良くできています.

 

コンビニは店舗の商品やサービスの魅力を高めて,一人でも多くの客に来店させて,一円でも多く消費してもらうことに経営資源を注いできたからこそ,それが評価され,客が集まってきたわけです.

 

にもかかわらず,コンビニが自社でデリバリーサービスを強化するとは理解に苦しみます.ラストワンマイルは配送を工夫するのではなく,取りに来てもらう集客の仕組みとインセンティブを検討すべきでしょう.税抜き200円で商品を配送するサービスを提供して稼げるはずがありません.

 

 

  • 「コンビニでの民泊チェックインは来店客増でグッド.ただし民泊の将来性には疑問符」

 

一方で「民泊チェックイン機を設置」や「ATM送金機能」の新サービスは,来店客を増やす仕掛けとして面白いです.弊社としては民泊ビジネス自体に懐疑的(違法民泊で溢れているし,民泊規制に従えばビジネスとして成り立たない)なため,投資を回収できるかについては疑問はあるものの,可能性のあるサービスではあります. 

 

→セブン‐イレブンとセブン銀行ATMで 口座不要の「現金受取サービス」スタート!

 

→セブン-イレブンに民泊チェックイン機を設置

 

→ファミマ、民泊でエアビーと提携 店舗で鍵受け渡し

 

 

  • 「オムニセブンは大失敗とか批判が多いけれども,商品とやり方を間違えただけでビジネスチャンスは大いにある」

 

そうは言っても,コンビニの日販も頭打ち,出店余地もほとんどない.人口も減少する.成長戦略を描くどころかこれまでの売り上げを維持することも難しいのでは? いやいや,そんなことはありません.コンビニは地方創生や観光の要の施設として,まだまだ成長の可能性があると考えます.

 

ライバルをAmazonと考えるから無理が出る.Amazonと同じ土俵で戦って,投資余力が低く,ITリテラシーの低い日本企業が勝てるはずもありません.そもそも,Amazonや楽天で買えるものを販売して何の意味がありますか? 消費者(利用者)にバリューを提供できていますか? 

 

というわけで,コンビニ各社の幹部の皆さま,コンサルのパートナーの皆さま,小売りの世界を変えるビジネスプランがあるので御提案の機会をいただけないでしょうか? 日本はシリコンバレーと違って企業とビジネスアイディアをマッチングさせることが,まったく機能していないのは何とかなりませんかね….